第2話



 コンビニに着いたのは、日が暮れ始めた頃だった。


 コンビニのある場所は、高尾インターのすぐ近くだ。


 俺が住んでる北八王子からは、車でも30分はかかる。


 北八王子駅から電車に乗って、高尾山口駅まで約20分。


 そっから、俺は徒歩でインター前のコンビニに行くことにした。


 15分くらい、トボトボと歩いた。



 まさか…



 そう思える光景は、普段の生活でそんなに起こることじゃない。


 今までの人生は平和で過ごしてきたつもりだし、何か特別なことが起こるようなことはなかった。


 いい意味でも、悪い意味でも。


 アイツが事故に遭ったって聞いた時も、最初は「夢」じゃないか?って思えたんだ。


 それくらい、何気ない日々を送ってた。



 今頃、アイツは何してるかな?



 コンビニに行きがてら、ずっと考えてた。


 「いつか事故するぞ」って笑いながら、アイツに言ってた。


 まるで昨日のことのようだった。


 ガラの悪い服装や、茶色に染まった髪。


 ダボダボのズボンに、スタンドカラーのタンクトップ。



 アイツん家に行けば、また会えると思った。


 入り浸ってた先輩のバイク屋に行けば、入り口のベンチに座ってタバコを吹かしてる姿が、すぐ目に浮かんだ。


 ラインを見返してた。


 過去のトークの画面を。


 そうこうしているうちにコンビニに着いた。


 店内には、1人の男性客がいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る