第27話 最後の対決と真実の暴露

東京の夜、煌びやかなネオンが街を彩る中、奈緒美と玲奈、高橋剛は、高級ホテルに向かっていた。ホテルのロビーは高級感に溢れており、一般の客たちが何事もないように過ごしていたが、その裏側には奈緒美たちの目的が秘められていた。彼女たちは、長年にわたり隠されていた恐ろしい真実を暴露するために、黒幕との直接対決に臨む準備を整えていた。


「ここが彼の最後の隠れ家です。」高橋剛が静かに言った。「彼の部屋は最上階のスイートルーム。警戒が厳重ですが、証拠を突きつけるためには直接対峙する必要があります。」


「彼を逃がすわけにはいかない。」奈緒美は強い口調で言った。「これで終わりにするために、私たちは慎重に、しかし確実に動く必要がある。玲奈、あなたもその覚悟を持って、最終的な決戦に挑んで。」


玲奈は頷き、手にした贈り物を見つめた。「お母さんが、私にこれを託してくれたのは、今この瞬間のためだったんですね。彼女の愛を無駄にしないために、私も全力で戦います。」


エレベーターで最上階に向かう途中、奈緒美は玲奈の手を取り、静かに語りかけた。「玲奈、これからの戦いは厳しいものになる。でも、あなたが今ここにいるのは、あなたの母親が全力で守り抜いたからよ。あなたが生きていることが、紗絵子さんにとっての勝利なの。だから、何があっても自分を信じて、最後まで戦い抜いて。」


玲奈は涙をこらえ、強く頷いた。「ありがとう、奈緒美さん。お母さんのためにも、私は負けません。」


エレベーターが静かに止まり、ドアが開いた。最上階の廊下は静寂に包まれていたが、その先に待ち受けるものを三人は感じ取っていた。奈緒美は決意を込めて一歩前に進み、英二が潜むスイートルームのドアの前に立った。


「これが最後の戦いよ。」奈緒美は玲奈に目配せし、高橋剛がドアを開ける合図を送った。三人は慎重に部屋の中に入り、英二が背を向けて窓の外を見つめている姿を確認した。


「ようこそ、お嬢さん方。」英二は背を向けたまま冷ややかに言った。「君たちがここまで辿り着くとは思わなかったよ。」


奈緒美は冷静な表情で応じた。「あなたの陰謀はもう終わりよ、英二さん。私たちは全ての証拠を手に入れた。玲奈の出生に関わる全てをね。」


英二はゆっくりと振り返り、彼の顔には不敵な笑みが浮かんでいた。「証拠?そんなもの何の価値がある?君たちは私の手の中にいるんだ。」


「いいえ、もう違うわ。」玲奈が前に一歩進み出て、紗絵子が遺した手紙を取り出した。「お母さんが、あなたの全てを見抜いていました。私を守るために、命を賭けてくれた。あなたにその愛がわかるとは思えないけど、私はその愛を信じてここにいる。」


英二はその言葉に動揺を見せることなく、冷ややかな目で玲奈を見つめた。「紗絵子のことを本当に理解しているのか?彼女は弱かった。それゆえに私はこの道を選んだんだ。弱さは消さなければならない。君も同じだ。」


「弱さじゃない。お母さんは強かった。そしてその強さが、私を守ってくれたんです。」玲奈は毅然とした態度で言い放った。


奈緒美はそのやり取りを見守りながら、確信を持って言った。「あなたの時代は終わったわ、英二さん。これからは私たちが真実を明らかにする。そして、あなたが引き起こした全ての罪を暴いてみせる。」


ここで奈緒美は、英二の背景について語り始めた。「あなたは大村家の一員として、長い間その地位を守るために手段を選ばなかった。玲奈の存在があなたにとって脅威になると知った瞬間から、あなたは彼女を抹消するために動き始めた。紗絵子さんが逃げるのも当然のこと。彼女は玲奈を守るために、あなたの手から逃れるしかなかった。」


英二の顔から笑みが消え、彼の目には明らかな動揺が見えた。「これが…」


「そう、これが全ての真実です。」奈緒美が静かに告げた。「あなたは全てを失った。これ以上隠し通せるものは何もないわ。」


玲奈は最後に一歩前に進み、英二を真っ直ぐに見つめた。「あなたの時代は終わりです。お母さんが守り抜いた愛の力で、私たちはあなたに勝ちます。」


英二はその言葉に何も言い返せず、ただ立ち尽くしていた。彼が積み上げてきた全てが、この瞬間に崩れ去ったのだ。


奈緒美は静かに警察に連絡を取り、英二の逮捕を要請した。彼の時代は本当に終わりを迎え、玲奈と奈緒美は過去の鎖から解き放たれる瞬間を迎えた。

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