水面から見る月は

@mimeiY

第1話 その手が掴むのは

ここはどこなの?


私はそっと目を開けた。

周りは真っ暗で何も見えない。


狭くはない。両手足を広げていられるから。

暑くはない。むしろ生ぬるいなかに居る。

寒くはない。ときどきおなかがひゅっとなるだけで。

痛くはない。けがはしていないらしい。



「だれかいないの?」


声をだしてみる。おとはなにも聞こえない。



どうしたものかと思っていると目の前に明かりが見えた。


明かりへ手をふる。


「おーい。わたしは『ここ』よ」


明かりは大きくも小さくもならないから街頭かなにかだろうかと思い

明かりの方へ手をのばした。




ぽちゃ




水のおとがした。

何かのおとがした。




明かりはつかめなかったし音もなんの音かわからなかった。

でも私の周りがゆれている。




これで帰れる。



『あの人のところへ帰れる』











~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ここで臨時ニュースです。

昨晩、池の景観が有名な×××公園の池で女性の遺体が見つかりました。

発見者によると「池から手が出てきた。不法投棄されたマネキンかと思い警察に通報した」とのことです。

女性は先月より行方不明になっていた『〇〇 〇〇〇』さんと衣服が似ていることから警察では身元の確認と共に事件性が有るか捜査中とのことです。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る