壊れていても構いません

@mohoumono

壊れていても構いません

歩いていると、なんとなくため息がでる。

疲れた訳でも辛い訳でもない。ただ、何となく苦しかった。この苦しさで死にたいじゃ無いが、いつまで続くか分からない不安はあった。会社帰りに見た夕日も綺麗だと思うだけで、この苦しさが取れることはない。心を動かすことが億劫になり始めたのだろうか。夕日の前でため息をついた。楽しい事は、音楽を聴く事だ。今でも、それは楽しい。その間は幸せだ。心を動かされることが楽しくて堪らなかった。ただ、周りの幸せとは少し違ったようだった。周りの幸せが昔よりも見えるようになったせいで、世界は虹の色が合わされば黒色になる様なものになってしまった。そんな事を考えながら、家のドアを開ける。やるべき事を、いつも通りに機械的にやっているとふと死にたくなる。もういいやそう感じて全てを放り投げて、シャワーを浴びて布団に潜った。体が熱って寝られずにいる。意味もなく歯を食いしばった。朝が明ける。今日は燃えるゴミの日だ。けれど、疲れが取れていないのか布団から出ることができなかった。ゴミは出さなかった。飯を食べる。食べたいわけじゃなくて、食べないと人として壊れているような気がしたから食べた。

ワイシャツを着て、ズボンを履いてバックを持って家を出る。欠伸をする前に涙が出る。蝉の声にため息が出た。休日を迎える。アラームに怯えていつもより早く起きた。携帯を見ると、土曜日になっていた。安心して、息を吐く。何もしたくないので、寝た。目を覚まして、ご飯を食べる。それだけで、疲れる。眠くもないので、音楽を聴いた。雑音だらけでクソみたいなモノだ。疲れた。そういえば洗濯物が溜まっていた。なんで勝手に干されてくれないのだろうか。腹が立った。使った食器にも部屋に溜まった埃にも。腹が立った。その時ふと、壊れていても構いません。均質的な女性の声が聞こえた。どことなく救われた気がした。多分きっと、それが人間じゃないからだ。

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