龍の扉 月の装備


 ここは狭間の世界、地球のある宇宙とも隔絶されたこの空間に、悲しげな雰囲気を出しながら、女の子座りをする少女が一人、眼前に大きく映し出されている地球を見つめていた。年は15、6くらいで、光まで反射しそうな翠のショートヘアに極めて生地の薄い水着のような衣装を身にまとっているのが、この狭間の世界の主であるレティア姫。


 宇宙3女神の次女でもあるこの少女はとある事件が理由で、この空間に封印されていた。手と足には重そうな鉄球が付いた枷がはめられている。鋼鉄たちはレティアに月のチカラの継承者であるメイリャンを紹介しに、この狭間の世界に龍の扉を通ってやってきたのだった。


「鋼鉄とレインちゃんじゃない……久しぶり」



「お久しぶりです。レティア姫」



「一体どうしたの? ここに用があるってことは、地球で何かあったの?」



「いえ。まずはこれを。ウィディア神からの預かりものです」

 そう言って鋼鉄は牛丼の袋をレティアに渡す。



「わあ、ありがとう……牛の家の牛丼じゃない……シュバババ!」

 光の速さで牛丼をかきこむレティア姫。



「むぐ……その子が月のチカラの継承者?」



「そうです。名前はリー・メイリャン。わずか16才ですさまじい功夫の持ち主です」



「あなたがそこまで言うなんて珍しい……あ……その腰の装備」

 レインにおぶられているメイリャンの腰の薙刀を指さすレティア姫。



「ウィディア神からメイリャンに託された物です。レティア姫が使っていらしたのですよね?」



「その子が起きたら……伝えておいて。その剛神武装、冥月は私の力が込められた、大切な装備だから大事に使ってと……」



「わかりました。伝えておきます」



「少し……見てみたい」



「何をです?」



「クレイジー・ムーン……」



「レイン、研究所のクレイジー・ムーンの映像を出せるか?」



「かしこまりました。マスター」


 ヴォン!とレティア姫の前に電子画面を出してクレイジー・ムーンの映像を見せるレイン。



「これが……クレイジー・ムーン……でも」

 驚くレティア姫。だがすぐ不思議な表情になる。



「装備……これだけ?」



「覚醒したばかりで装備を最低限しか積んでいないようです」



「このままじゃ戦えない、私の持ってる装備……あげる。ほんとはメカ狂いのメイティアに頼むのがいいんだけど、あの子はイケメン探しツアーとかに行ってて今はいないから……」



 クレイジー・ムーンの装備がフルパッケージになった!!



衛星機甲『クレイジー・ムーン』機体カラー メタリックシルバー

近距離 近接タイプ

軽量型 単座式 全天周囲モニター

搭乗者 眠りの拳士 リー・メイリャン 使用スキル(予定)

夢遊夢闘劇 爆睡拳(金色形意拳)メイリャンが使う基本形の武術。ナルコレプシー・モードになると最大火力。

極大奥義 眠りの極致 寝神統一

寝言玉 身体強化

真・黒鉄山靠 (シン・クロガネザンコウ)

真爆睡・寝返り神龍

半覚醒 眠りのゆらぎ・解 関聖帝君のチカラを解放する。

極大奥義 眠りの極致 寝浸透勁 (シンシントウケイ) 高性能鎧通し

龍気寸勁 極 (キワミ) 後にレティア神から教わる

※フルチューンナップ 固定武装 フルパッケージ

魔法弾式セミオートショットガン 超包雷 (チャオバオレイ)

対星機体用特大ビームサイス 牡丹鎌 (ミューダンリエン)

対星電磁ナギナタ 大冥月 (ダイミンユエ)

視覚誘因幻惑電磁装甲 ルナミラージュ

反重力リアクター搭載型 コアドライブに直結

サブリアクター『ルナ・クォーツ』→???

搭乗者の感情によって能力が変化する 「感情ドライヴ」搭載


使用システム「ハイブースト」「ロウブースト」「ダブルブースト」「幻のトリプルブースト」ハイとロウは同負荷。ダブル、トリプルと負荷が上がっていく仕様。ハイは機体加速、ロウは空間鈍化、ダブルは両方を一度に発動。トリプルは不完全な時止め(徐々に時間が進む)いずれも時空間魔法(時空間制御)


ハイとロウはどの機甲でも使えるがダブルとトリプルだけは時空間魔法の達人であるウィデア神に時空間魔法を機体に編み込んでもらわないと使えない。



「あとは……これ……」

 レティア姫が首からかけているネックレスを外し鋼鉄に渡す。



「これは? 宝石のようですが」



「ルナ・クォーツと呼ばれる宝石……これをクレイジー・ムーンのリアクターのサブ動力に据える……できる?」



「組み込む事自体は可能です。適合するかどうかは試してみないとわかりませんが……けれど一体なぜ?」



「くふふ……一応の……保険」

 不気味な笑みを浮かべながら喋るレティア姫。



「装備はお姉さまに頼んで研究所に送ってもらうから、ルナ・クォーツだけは本人の手で組み込ませて? わかった?」



「了解しました」



「じゃあね? またおいしい料理、楽しみにしてるから……」



「はい。とびきりうまいやつを持ってきますよ。さあ、行こうか、レイン」



「かしこまりました。マスター」



 レティア姫に別れを告げると、鋼鉄たちは転生の間へと戻ってゆくのだった。



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