眠りの拳士 リー・メイリャン編1 中華料理のいい匂い


 中華料理 メイファン 店内


「zzz……『天津飯お待たせしましたアルよ~!!』」



「ぐはぁっ! でも旨そう!!」

 バキィ!と鈍い音がする。眠りながらお客さんをぶっ飛ばしながら仕事をしているのがリー・メイリャン16才。好物はキムチチャーハン。



「こらメイリャン! 眠りながらお客さんをぶっ飛ばすなといつも言ってるアルよ!」

 そう言いながら豪快に中華鍋を振り回しているのが、中華料理屋、メイファンの店主であり父親のリー・フェイロン45才。



「あなた、メイリャンは昨日の夜中まで修行していたのよ。許してあげてください」

 テーブルを拭きながら店主に言い聞かせているのが母親のリー・メイファン45才。




 店内に突然、白い扉がすうぅっと下から出現し、お客たちがまじまじとその扉をみながら騒いでいる。そうこうしているうちに鋼鉄とレインが白の扉をくぐって出て来た。



「む! この匂いは!!」



 二人そろって「中華料理!」



「マスター、お腹が空きました」



「そうだなレイン。メシにしようか、俺も腹がへった」

 椅子を引きカウンターに座る二人。早々に鋼鉄は鉄板ともいえるメニューを注文する。



「店主、チャーハンをもらおうか」



「?! この男……できるね。お冷も注がずチャーハンを頼むとは……それになんか暑そうな鎧着てるし、なんねこの男は……ただものじゃないアル」



「わたしはラーメンをお願いします」



「ハイヨー! チャーハンとラーメン入ったアルよ! 少々お待ちくださいませネ!」

 ジャッジャッと大きな中華鍋を振り回しながら卵を炒めていく。そして白飯を入れ、二つが宙に舞いパラパラになって仕上がっていく。



「お待ちネ……ゴクリ」

 コトっと置かれたチャーハンはできたてなのか湯気がホワホワと出ている。とてもうまそうだ。


「では……いただきます」

 兜を脱ぎ、メシを食らう。ただ、それだけ。レンゲですくいまず一口。



「はむっ、ほふほふ……うむ、うまい」



「すごいおいしいです、マスター」



「そうだな、レイン。お、レインはラーメンを頼んだのか、少し交換しよう」

 お互い交換しあい舌鼓を打つ。異様な雰囲気を放っている二人にフェイロンはたまらず質問する。



「お客さんたち、一体何者アルか? ただここにメシを食いにきたって感じでもなさそうだけど」



「私たちは、リー・メイリャンという人物を探している。心当たりはないか?」



「アイヤー! メイリャンは私の娘ね! まさかお前たちもメイリャンの婿になりにきたかね?!」



「いや、わたしたちはただ……」




「zzz……『ホイコーローお待たせアル!』」



「いや俺が頼んだのはチンジャオロースなんだけどー! ドカーン!!」

 鋼鉄たちの後ろで騒いでいるメイリャンとお客。楽しそうだ。



「メイリャンの婿になるには、メイリャンより強くないといけないネ! 今で99戦99勝ヨ! お前が100勝目になるアルか?!」

 おたまを鋼鉄にビシリと向け威嚇するフェイロン。



「ふむ、手合わせしてもらえるのなら」


「マスター」


「いいんだレイン。もしかしたらあの子が星のチカラの継承者かも知れない」



「なら決まりネ! 明日の昼に武夷山(ぶいざん)の広場に集合アル!」



「武夷山だと……!! まさかここは中国……福建省か?!」



 扉の先は地球だったことに驚く鋼鉄とレイン、はたして、メイリャンは継承者なのだろうか?!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る