迷宮絶滅危惧種探索者記
水城みつは
【蒐集家】は綴る
1999年7の月、人類は滅亡しなかったが前人未踏の地を求める探索者は絶滅危惧種となった。
そんな科学の発達した世界に混迷がもたらされたのは四半世紀程前のことだった。
2025年、
迷宮内には銃火器の効かない
とはいえ、依然として
そんな
◆ ◇ ◆
「ふう。これが
男は分厚い革表紙の本を閉じ、丁寧に留め金を留める。
見た目は中世の羊皮紙で作られ教科書に出てきそうな豪華な本ではあるが、今の世ではダンジョンから稀に発見される
もっともそのせいで男がこの本を手にするまで一年以上待たされることになった。
「その本が【
コーヒー缶を手にした男の後輩が近くの空いている椅子に座り、興味深げに装飾された革表紙の本を眺めている。
「まあ、【
男は留め金で留められた分厚い本を後輩に手渡した。
「うわっ、やっぱり結構重いですね。え、あれっ? 先輩、これどうやって開けるんですか?」
「どうやら俺だけが開けられるらしいんだよ。迷宮管理局の人も首を捻ってたよ」
返された本の留め金を軽く外して開いて渡す。
「は? え、手品ですか? いや、普通ですねこの留め金」
「機能としては魔力による個人認証のようなものと言われたが詳細は不明。おかげで魔導具ではなく
ダンジョンで発見される魔力によって駆動する各種道具は魔導具と呼ばれる。また、それらを参考にして人工的に作成された道具が魔道具であり、
なお、
「ところで、この本って
ぱらぱらと本をめくっては確認している後輩が編集者の目になっている。
「中身は見ての通り
「このフィクションとノンフィクションの境界線ぐらいのネタは流石秀歌先生ですねぇ。あ、年末の蜃気楼迷宮の話もあるじゃないですか。これは、旬の話題だし出版しましょうよ」
「ふぅ、呑気なもんだな。世の中には出して良いネタと出したらヤバいネタがあるんだよ。ちなみにその本の中身については俺が全ての権利を貰っている」
「え、秀歌先生といえばベストセラー作家ですよ。遺作ともなれば言っちゃなんですがバカ売れ確定じゃないですか。先輩、奢ってくださいね」
「まあ、どこかで短編集としては出してやりたいよな。ちなみに、その昨年末の蜃気楼迷宮の話は特級の厄ネタになるから出せないし、他言無用な」
何もわかっていなさそうな後輩にはしっかりと釘を指しておかねばならない。
「えぇ、どこに厄ネタ要素があったんですか、ウチから出す分には特に問題なさそうな話でした……よ?」
首を傾げる後輩から本を取り上げる。
「まあ、それがわかるようになったら一人前だろうよ」
挑戦的な含み笑いを残して男は取材へと出かけていった。
―― 解説 ――
本短編集は『ダンマスゲーム』の世界観や設定、小ネタを書いた短編を一箇所にまとめるために用意したものです。
なお、本編にあたる『ダンマスゲーム』は探しても書かれていないのでありません。ごめんなさい。
また、もう一つの目的としては、「カクヨム夏の毎日更新チャレンジ」用です。ええ、ネタが尽きてしまったのでリサイクルしてお茶を濁すのです。
濁さずに書いたほうが、
https://kakuyomu.jp/works/16818093078503610584
の『TRPG風ダンジョンはじめました ~ミリしらTRPG β0.5~』です。
『
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます