生まれてからと今の狭間

なのぐらく

名無しさん

 ボクには友達が一人だけいる。その子は名前がないらしいからボクは「名無しさん」って呼んでる。名無しさんはネ、ボクが会いたいときに会いに来てくれるんだ!名無しさんと話すのはとっても楽しいヨ!

 でもね、不思議なんだ。ボクが名無しさんと話していると、みんなボクを気味悪がるんだ。なんでェ?ボクはただ友達と話しているだけなのに。それにね、まるで名無しさんが見えていないみたいな反応。みんなはボクをオカシイ! ヘンダ! って言うんだ。……ボクはおかしくない。みんながオカシインダ……

 その時、誰かがボクの肩を軽く叩いたような気がした。ア!名無しさんだァ!

「名無しさん! おはよォ」

 ボクが挨拶をすると、名無しさんは挨拶を返してくれた。ヤッパリ名無しさんは優しいよネ!だって、いつもボクが自分の教室に入ってもクラスメイトは誰も挨拶をしてくれないンダモン。……アァ……またダヨ……みんなが影でボク達のことをヒソヒソと話してる。なんでェ?ナンデなの?!

「ねェ! ナンデ怖がってるの?!」

 すると、えぇっと……名前ナンダッケ?……まァいいや。ボクの目の前に立っている子は怯えた様子で言った。

「ヒッ!……だって……君が壁に向かって……まるで誰かがいるように喋っているんだもん……」

「エッ?……ナニイッテルの?……だってほら……ココにちゃんと名無しさんがいるじゃん!……?」

 アレ?名無しさん?いなくなっちゃった。みんなが騒ぐからダヨ……

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