第44話 クラヴィスと二人
クラヴィスは、一人見張りを続けるルキアの隣にチョコンと座った。
「ニックとチノは、仲良く買い物してるかなぁ?」
クラヴィスが心配そうに尋ねると、ルキアはあっさりと答えた。
「喧嘩するほど仲が良いっていうから大丈夫じゃない?」
クラヴィスは久しぶりにルキアと二人きりで話せることに胸が高鳴っていたが、何を話していいのか分からず戸惑っていた。
以前のルキアとクラヴィスとは何か違った。二人の間に言葉に表せない壁のようなものが少しだけ二人の邪魔をしていた。クラヴィスは落ち着きが増しただけでなく、どこか女らしさや気高さが増したように感じる。前はおっとりしていた優しい目は少し切れ長になり、鋭さが表れていた。
「魔女修行はつらかった?」
ルキアは心配そうにクラヴィスに尋ねた。
「ううん。それほど過酷ではなかったわ」
クラヴィスの目つきが柔らかくなった。
「ただね……」
クラヴィスはためらいがちに言葉を続けた。
「うん」
クラヴィスの真剣な表情から何か重要な話が始まるのだと感じた。
「最後に精霊と契約しなければならなかったの」
「契約って?」
ルキアはよくある悪魔との契約のような恐ろしいものを想像した。
「契約をすると、精霊の力を得るのと同時に寿命が伸びるのよ」
「寿命が伸びる?」
ルキアは驚きを隠せなかった。
「そう。今の私の寿命は既に延びていて、歳を重ねる速さも遅くなってるらしいのよ」
クラヴィスは淡々と説明したが、その声はどこか不安げだった。
「それは、良かったじゃない。ずっと可愛いままでいられるんだろ?」
ルキアが軽い調子で言うとクラヴィスは眉をひそめた。
「そんな簡単な話じゃないの!」
「ごめん。一体どのくらい長生きすることができるの?」
ルキアは謝罪の言葉を口にしながらも、クラヴィスの抱える負担の重さを感じ取ろうとしていた。
「だいたい二百歳くらいまで寿命が延びるんだって。ツァローニさんって、既に五十歳は超えてるらしいけど、そうは見えないわよね」
クラヴィスの言葉から、複雑な気持ちがにじみ出ていた。
「え、そうなの? まだ三十歳くらいかと思っていたよ」
ルキアは信じられないという顔をしていた。
「私も同じ。私……どう考えてもルキアが先にいなくなってしまうと思うと、不安で不安でたまらないの」
クラヴィスはルキアに真実を伝えることで、少しでも自分の不安を消したかった。
「それは変えられないんだろ?」
ルキアは慎重に問いかけた。
「一つだけ方法があるの……魔女になった後でもね……」
クラヴィスが言いかけたその時、買い物を終えたチノとニックが大声で戻ってきた。ニックが後ろのドアを勢いよく全開にして大声で言い放った。
「ただいまー! やっと買い出し終わ……、あ……。もしかして、タイミング悪かった?」
鈍感なニックですら、二人の間に流れる微妙な空気を感じ取った。
「ううん。何でもないから……」
クラヴィスは俯いたまま、ビークルから駆け降りていった。
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