第二十二話 紅色の霧へ侵入
メタルワームは金属質の鉄砂の中に現れ、鉄砂を主食としている。金属成分の分解方法は解明されていないものの、メタルワームは金属を時間をかけて分解し、天然の土へと戻している。グロテスクな見かけとは違い、メタルワームの行っていることは緻密だ。
頑丈な檻を取り囲むように、バトルスーツを着込んだ三人のレイスハンターが立っている。近くには、レイスハンターのものである一台のホバークラフトと、鉄砂にまみれた二輪タイプのホバークラフトが二台停まっていた。
「ニック。どうする?」ルキアは双眼鏡を覗くのをやめ、ニックの方をみた。
「どっちにしたって、見過ごせないから、助けるんだろ?」しばらく双眼鏡を覗いたまま、ルキアは三人のメタルハンター達の動きに目を光らせている。
「こっちはいいよ。いつでも行ける」ビークルに戻ったニックは、三人のメタルハンターの後をつける準備を終えた。
「連中。動き出した。メタルワームを何処かへ連れて行くみたいだ」双眼鏡をしまい込むと、ルキアもビークルに飛び乗った。
二台の二輪タイプが先導するように進んで、メタルワームを載せた重そうなホバークラフトが後をついて行く。しっかりと距離を開けてから、ルキア達は一定の速度でゆっくりと後をつける。そのまま、しばらく進むと、三人のメタルハンター達は、何処からか満ちてきた紅の霧の中へと消えていった。
「おい。まずいだろこれ。紅色の霧の中に行っちゃったよ。どうしようか? ルキア」紅色の霧の中へ入ろうなどとは一度も考えたこともなかったルキア達は少々戸惑った。
「行くしかないだろう」仕方なく紅の霧の中へと入ってゆくが、とても視界が悪く十数メートル先が見えるかどうかという感じだった。そんな紅の霧の中を、少しだけ速度を落として真っ直ぐに進んでいった。
二人は特殊なマスクに手を当ててどこにも隙間のないことを確認すると、効果は薄いかもしれなかったが、ビークルの窓を閉めた。
そうこうしているうちに、ぼんやりとだが遠くのほうから大きな影が目の前に浮かぶように近づいてきた。
速度を落としながらそろそろと近づくと、ある程度の距離を開けてビークルを停めた。ニックがトランクの中から、何やら物々しい擲弾発射器の着いたアサルトライフルを取り出してきた。ルキアのほうは刀を掴むと、ビークルから降りた。
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