第37話 一期一会
鬼達は、復活するだけ復活させられ見捨てられた。
だが、最近のツールを駆使して、餌を狩る。
黒服達の目だつ動きも無くなり、食べ残しさえ気を付ければ追われることがなくなった。
子どもの姿をした
「近くにいるなら、晩飯に行かない? 子どもの格好で夜十一時を過ぎてうろうろしていると餌が釣れるよ」
「良いねいこうか」
「俺も行く」
とにかく、警官や、今度は補導員達。
決まった動きをするものが、狩りやすいようだ。
「参ったわね。颯司意外に見せてしまった」
アマンダは流石に恥ずかしかったようだ。
フランスは下着をつけないで寝るし、セーヌ川沿いでもトップレスはいるし、海などにけばその傾向は高い。
裸で過ごすビーチやバカンス村などが存在して、ナチュリスム専用の施設が四百か所以上もあるという。
自然との調和やエコの考え方のようだ。
だがまあ、相手とみられる場所により、羞恥心はあったようだ。
颯司達は、アイスを食べていたが、いつの間にか食べさせ合いになっていた。
そこに、アマンダも参戦。
わざと口元にアイスをたらす。
それを大仰に指で掬い、舐める。
それを見て、颯司は先日のことを思い出し、思わずしゃがんでしまう。
横で見ていた雫は、よくわからなった様だが気がつく。
今度部屋で颯司にしてみようと思いつく。
強制仲良し計画を練る。
朱莉は気にせずパクパクだし、陸斗はまだ流れていた。
結局、二時間ほどで帰る事になる。
雫は名残惜しそうだったが、引っ張って帰る。
その途中、怪しい気配を感じる。
「鬼だな。どこだ?」
車の窓を開けて、周囲を探り始める。
「あっちだな」
しばらく前に帰ったはずの兄妹が絡まれていた。
そう、
「霞から手を離せ」
「お兄ちゃん」
周りの奴、一見すると単なる頭の軽い奴ら。
だが、その中の一人。
混ざっているやばい奴。
「嫌がるなよ、遊びに行くだけだよ。ほらこの先にプールがあるし」
「そこからの帰りなの。退いてください」
そう言って、すり抜けようとするが、前に立ちはだかる。
「あんた達、彼女は嫌がっているじゃない。いい加減見苦しいわよ」
炎の女、朱莉がびしっと言う。
「ほほう、あんたもかわいいな。遊ばない?」
「私たちもプールの帰りよ」
そして顔を見まわし。一人を見つめると問いただす。
「あんたね。正体を見せなさい」
びしっと指を差す。
「なにもんだ、おまえ?」
「通りすがりの正義の味方よ」
周りの連中が笑う。
「今時、正義の味方? だめだ、うける」
そんな事をいって笑う。
だが、笑っている胸から腕が生える。
「なっおまえ何してんだ」
仲間達も知らなかったようだ。
「ああっ? 何って食うんだよ。こんなに目だちやがって、予定が大崩れだ」
淡々として、そんな事を言った後、その高校生位の男は、手に持った心臓から血をすする。
胸から手を引っこ抜いたときに、抜いたらしい。
お仲間だった奴らは、それを見て逃げ出す。
ひたすら、やばいよやばいよとやかましい。
「お前達、なにもんだ? ちびっ子なのは偽装か?」
「偽装じゃないわよ」
雫が水の檻に閉じ込める。
だが力を失い、崩れ落ちる。
「なっ」
「悪いな、俺のほうが親和性が高いようだ」
額から角が生え、水玉がその周りに浮かぶ。
「おれは、水鬼って呼ばれていた。水芸が得意なんだ、お嬢ちゃんもそんな感じだな」
嬉しそうにそう言っていたが、今度は火の壁に包まれる。
「どわっ。熱なんだよもう」
水鬼は、水で消そうとした。
だが、一瞬で蒸発をする。
「なんだこの火、消えねえ」
「そう、私の火は情熱的だから消えないわよ」
「やめ、あぶ、あつ」
そんな事を言いながら、火の壁の中でクルクルしていたが、触れてしまったようだ。
燃え始めた鬼を、浄化の風が包む。
「大人数で卑怯だぞ」
そんな事を言いながら燃え、そして消えていく。
「うーん終わったけれど、すまないけれど君達も、見なかったことにしてくれる? それとも敵対をするのかな? 霞ちゃん」
「あっさっきの」
「うん。家業でね。君達は隠れ里のこかな」
そう聞くと驚く。
「知っているの?」
「ああ、父親から聞いた。害を成さない限りは手を出さない。古の約定があるんだって?」
「あーうん。聞いたことがある」
かなり驚いたようだが、霞ちゃんはうんうんと頷く。
こっちの三人は知らなかったようだ。
「物の怪の隠れ里があるんだって。昔の約束事があり、悪さをしない限りは手を出さない契約なんだってさ」
「そうなんだ。私は
そう言って、握手を求める。
かなり警戒をしながら、その手を取る。
「私は、
「
「聞いたことがないわね」
「まあいい。真っ昼間の戦闘。内緒にしてね」
俺は二人にも一度念を押す。
「はい」
「ええ」
「じゃあ帰ろう」
そう言って俺達は車に乗り込む。
兄妹は、まだこちらに頭を下げていた。
困ったのは、アマンダだ。
車にいたのだが、人型の鬼。
そいつを燃やしたことに、かなりのショックを受けたようだ。
無論浄化で崩れるように消えたので、普通じゃないと分かっただろうが……
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