第6話 もう止まらない
乃斗が目が覚めると太陽の光が窓から照らされる。深きものの気配は感じない。ひとまずは、休戦だ。
次の戦いで乃斗は死ぬかもしれないと言う狂騒に駆られているため直ぐに、ネクロノミコンの断片に目を通し始める。奴らの目的を見つけるために。
精神が焼かれながらその本を通して色々な魔術を学び、目的も判明した。奴ら深きものは大いなる邪神クトゥルフの復活を目論んでいる。そして本格的な基地はアメリカのアーカムの隣町インスマスにあるダゴン秘密教団なのだが、1920年ある4人組によって壊滅。残党がこの日本の東京にいるらしい。そして、かの邪神クトゥルフは星辰が揃う時封印されてあるルルイエが浮上し復活する。とのことそれを食い止めるにはクトゥルフを殺さなければならない。
「なんつーか、クソッタレだな。」
そして、クトゥルフは一応神なため神格の退散と言う呪文を唱えなければならない。その代償は詠唱者自身の魂。世界からして見れば安いものだが、乃斗自身はそれに恐怖し始めた。人は死ぬのが怖いのである。生物の本能が死そのものが恐怖の対象なため拒絶しているのだ。乃斗は選ぶ。こんな体験は二度とないから。生憎彼の家族、親戚は誰もいない。友達もいない。後悔は無かった。
「神格の退散。起動」
ネクロノミコンの断片。とても危ないものであった。その魔導書から得る情報は全ての常識を覆す物だ。だが、その代わりに人の精神力を蝕む。とてつもない禁書である。彼は今、知識量で言えばかの邪神ヨグ=ソトースに匹敵するものだ。
辺りが一瞬で夜になり、咆哮が響く。この咆哮は深きもののリーダー的存在ハイドラとダゴンだ。家に向かって進んでくる。ドスンドスンと足音も響き渡る。
「あと少し!」
乃斗はあと少しで詠唱完了し自分の命と引換えにクトゥルフを殺せるところだった。詠唱しているのと同時に自分の命の灯火が消えていくのを感じる。
「詠唱完了…」
ああ、終わった。全て終わった。さて、俺はどうなるんだか。死ぬのはもう止まらないよな。
そうして才賀 乃斗の人生は終わりを迎えようとしていたが、ここでは終わらないここからが始まりである
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