俺は霊が見えない

繭住懐古

序章〈幼い日のこと〉

「馬鹿にしてるんだろ⁈お前も、父ちゃんも、みんな、みんな‼︎俺が霊を見れないからって、バカにしてるんだ‼︎死ぬのが怖い俺を、可哀想なやつって思ってるんだ‼︎そうだろ⁈どいつもこいつも、大っ嫌いだ‼︎」


 幼い少年が泣き声を上げる。そんな彼の目の前には、同じく歳の幼い少女が涙を流して彼の怒号を聞いていた。


 これは二人のかつての記憶。とある少年少女の決別の記憶であった。

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