雑踏に咲く花よ

不揃いの忙しない足音。

同じところへ向かういくつもの集団が行き交う交差点。

こちらの姿がまるで見えないかのように、ぶつかり押し退けどこへ向かうのか。

世界を彩るものこそは、大変無機質な色をしていて、その上に乗っかるものの色こそは、大変に下品な色であるのにも関わらず称賛の宴。

今日も賑やかな無意味に主張の強い原色が、拳を強く握りしめインクをぶちまける。

お祭りに群がった群ともは狂信者となって、意味も分からず大暴れ。

どこの誰だか分からないものを担ぎ上げ、いざ磔の舞台へ。

歌え、踊れ、叫べ、騒げ、油を注いで火を放て。

足らぬなら薪を放り込んで油を注げ。

律動無き振動は地を揺らし膨張の大きな波となる。

この瑣末の結末が見えたであろう。

灰になり変わった地に残り火がぎらりと鋭く燻っていらあ。

火に照らされて光る頬は汗なのかい。

無垢な幼年の笑顔を見せる老年よ。

静まりたまへ、古き血の主よ。

姿形を変え繰り返すクロニクルとトゥルーマンショーからの脱却を。

表情とは裏腹に頬につたう涙を今こそその地に落としたまへ。

雑踏に咲く花よ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る