第8話:リュカの羽がすべてを物語っている。

そして次の休みの日、僕は愛川に連絡をした。

大事な話があるからって・・・。


「話ってなに?」


って愛川に聞かれたけど僕は言葉を濁した。


「うん・・・大事な話」


「分かった・・・午前中に次野君ちへ行くね」


「うん、ごめんね」


でもってその日の10時頃、愛川は僕のアパートを訪ねてきた。

愛川はリュカちゃんを見て軽く会釈した。


「いらっしゃいだわ」


リュカちゃんは嫌な顔ひとつせず愛川を迎えてくれた。

愛川をソファにいざなうと彼女は台所に消えていった。


「妹さん、まだいるの?」


「うん・・・まあ・・・そのことだけど・・・」

「彼女はリュカは実はその・・・妹じゃないんだ・・・」


「え?・・・」


「びっくりだよね・・・ごめんね、妹なんて君にウソついてた」


「そか・・・なんとなくだけど分かってた・・・次野君が学校休んだ日、

私がお見舞いに・・・ここに来た時にね・・・」


「うそ?・・・バレてたの?」


「どう見たっておかしいって思うよ・・・バレバレだよ」

「あの時はそれでも黙って帰ったけど・・・妹じゃないって分かってた」

「妹じゃなきゃ、誰?ってことになるわよね」


「男の人って付き合ってる彼女のことを浮気相手に隠すために妹にしちゃう

って、よく使う手でしょ?・・・それでしょ?」


「図星・・・僕、ドツボにハマってるよね」


「私、こう言うパターン、次野君で二回目」


「はあ?・・・二回目?・・・僕みたいなうやつが他にもいたんだ」


そしたらリュカちゃんが飲み物を持って台所からやって来た。


「あの、愛川さん?・・・バンちゃんが私のこと妹だなんてウソついてごめん

なさいだわ」


「次野君、彼女がいるならいるで最初にそう言ってくれたらよかったのに」

「正直に言ってくれてたら私も無理しないで身を引いたんだけどな」

「断られるならまだしもウソつかれるのが一番イヤなんだよね」


「僕が優柔不断だったのがいけなかったんだ・・・」


「で、この人、やっぱり次野君の彼女さんでしょ?」


「ああ、紹介しとく・・・この子リュカちゃん・・で、そのこの子は」


「私、天使なんだわ・・・愛川さん・・・もしかしたら・・・」


「は?・・・天使って言った、今」

「次野君のウソは、とりあえず置いといて、あなたの冗談は過ぎるわ」

「言うに事欠いて天使って・・・私をバカにしてる?」


そこで僕とリュカちゃんの間になにがあったかを愛川に話して聞かせた。

パンツから始まった僕たちの馴れ初めについて・・・。


すべて話終わったあと愛川ひとつため息をついた。


「それを私に信じろって言うの?」


「信じてくれなくても、それが真実だから何度話しても同じ話しかできないから」


「口裏を合わせたとしても辻褄つじつまは合ってるわね、どうなってるの?

あんたたち」


「じゃ〜愛川さん、これを見たら信んじてくれます」


リュカちゃんはそう言うと着てたワンピースを脱ぎはじめた。


「リュカちゃんなにしてんの?」


「ふたりとも私の背中見るだわ?」


そう言ってリュカちゃんは僕と愛川に背中を向けた。


「ほへ〜綺麗な体」


僕だってリュカちゃんの裸ははじめてみた、だから彼女の綺麗な裸に見とれた。


その背中からなにかが出て来るのが見えた・・・え?・・・はね?

なんと羽?・・・・背中から白い羽が生えてたんだ。


「普段は邪魔にならないよう羽は体の中に同化されてるだわよ」


僕はリュカちゃんと暮らすようになって今日はじめて彼女の羽のことを知った。

最終的に小い羽を大きくなって広げるとキューティクルちゃんの身長より

大きくなりそうだった。


「羽は天国に帰る時しか使わないだから・・・」

「どうだか?これで私が天使だって信じてくれるだか?」


愛川はキツネにつままれたような顔をしてクチをポカンと開けたまま

リュカちゃんの羽を見ていた。


「わ、分かった・・・分かりました」

「でも信じられないよね、こんなこと・・・天使なんているんだ?この世に」


「だから真実だって言ったろ?」

「でさ・・・話が逸れてるけど・・・これから肝心な話をするから」


「肝心な話ってなに?」


「僕と愛川のこと・・・」


「え?私と?・・・次野君のこと?」


「そう、僕には見たとおりリュカちゃんって彼女がいる」

「だから、悪いんだけど・・・僕は愛川とは付き合えない」


「あ〜・・・そのこと?」


「本当にごめん・・・僕を許せないよね」


「うん、許せない、今更謝ってもらっても・・・」


「困ったな・・」


「ちっとも困らないよ、次野君」


「え?どう言うこと?」


つづく。

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