第5話 草薙神社

 社伝では、景行天皇53年に天皇が日本武尊ゆかりの地を巡幸した際、9月20日に天皇が当地に着き日本武尊の霊を奉斎したのが創建という。また、天皇は当社に神体として草薙剣を奉納したが、この草薙剣が朱鳥元年(686年)に天武天皇の勅命により熱田神宮に移されたとも伝えている。また社伝では、当社は古くは清水区草薙1丁目の「天皇原」と称される地に鎮座したという。現在地への遷座時期は明らかでないが、一説に天正18年(1590年)の造営時とする。


 歴史考証の上では、前述の通り当社の創建にはヤマトタケル伝説が大きく関係するとされる。静岡市一帯には、大規模古墳として葵区の谷津山古墳(全長110メートル)や清水区の三池平古墳(全長65メートル)が残るが、これらの古墳を築いた勢力の服属が伝説成立の背景にあると推測される。なお、当地の首長古墳は「清水区庵原や谷津山丘陵(前期:4世紀代)→瀬名丘陵(中期:5世紀代)→有度山北麓(後期:6世紀代)」と変遷したと推測されるが、これらのうち清水区庵原付近に久佐奈岐神社が、有度山北麓に当社が鎮座する。


 また、「クサナギ」の名を焼畑系地名に由来するとする説もある。その中で、伝説の中でヤマトタケルが向火をつける様も野焼きの延焼防止としてよく知られる手法であることも併せて指摘され、先行する焼畑系地名に基いてヤマトタケルの火難伝説が成立したと推測される。ヤマトタケル伝説の成立以前の当社については、山の神として焼畑作物を与える神であったとも、谷部にあることから水の神であったとも考えられている。


 延長5年(927年)成立の『延喜式』神名帳では駿河国有度郡に「草薙神社」と記載され、式内社に列している。ヤマトタケル伝承との関連から武家から信仰され、天慶年間(877年-885年)には平将門の乱の平定に奉賽がなされたと伝える。


 中世には、永享4年(1432年)に将軍足利義教の駿河下向に従った尭孝が草薙社について記述している。天正8年(1580年)には、願主森民部太夫により釣燈籠と鰐口(ともに静岡市指定文化財)が奉納された。天正10年(1582年)には竹木の伐採が禁止され、天正18年(1590年)には社領として草薙郷18石が社人の民部大輔に安堵された。この社領は、慶長4年(1599年)にも横田村詮により安堵されている。


 江戸時代の社領(朱印地)は50石。


 明治維新後、明治3年(1873年)に近代社格制度において郷社に列し、明治12年(1879年)7月24日に県社に昇格した。


 ### **第十七章: 草薙神社の惨劇**


草薙市の街中で結城誠と美咲が『ドラクエウォーク』を楽しんでいたちょうどその頃、街の中心に位置する草薙神社は、静けさに包まれていた。歴史ある神社は、市民たちの信仰の場として長年親しまれてきたが、その神聖な空間が突如として恐怖に包まれることになった。


その日、早朝から神社の境内を掃除していた巫女が、異変に気づいた。神社の本殿の脇にある小さな祠の前に、何かが横たわっているのが見えたのだ。近づいてみると、それが人間の遺体であることがわかった。


**「これは…一体…」**

巫女は恐る恐る近寄り、倒れている人物の顔を確認した。その瞬間、彼女は息を呑んだ。遺体の顔は、蜂須賀蛍、すなわち「すみれの郷」で中村にパワハラを繰り返していたヘルパーの一人だった。


### **第十八章: 死体発見の報告**


 巫女は震える手で警察に通報した。やがて草薙市警察の捜査官たちが現場に到着し、神社は一時封鎖された。現場検証が行われる中、蜂須賀蛍の死因が特定されていく。


 捜査官の一人、林田由美は、現場に残された証拠をじっくりと調べた。遺体の状態や周囲の状況から、蜂須賀がここで何者かに襲われた可能性が高いと判断された。外傷が確認されており、彼女は抵抗した形跡も見られたが、それでも彼女の命を奪った暴力には抗えなかった。


 蜂須賀蛍の遺体が発見されたニュースは瞬く間に草薙市全体に広まり、街は不安と恐怖に包まれた。「すみれの郷」のスタッフや利用者たちも動揺し、特に中村に対する疑念がささやかれるようになった。かつての同僚の死と、退職を決意した中村との間に何らかの関係があるのではないかと、噂が広まっていった。


 しかし、結城誠はこの事件を単なる偶然として捉えられなかった。蜂須賀蛍の死には何か重大な秘密が隠されているように思えたのだ。結城は再び探偵としての感覚を研ぎ澄ませ、この事件の真相を探るべきだと感じた。


 彼は美咲に声をかけ、

**「これはただの事件ではない気がする。もう少し調べてみる必要がある」**

と伝えた。


 こうして、結城誠は草薙神社で発見された蜂須賀蛍の死の真相を追うべく、再び探偵としての道を歩み出すこととなった。背後に潜む謎を解き明かすため、草薙市を再び舞台に、彼の新たな調査が始まろうとしていた。

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