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「最低じゃん。

烏丸は騒がしい奴だし、真田征也はいけ好かないご令息だって何となく思ってたけど。

何でそんなことしてて悪い噂の一つも立ってないの」



ファミレスのドリンクバーの前で、親友の莉乃から征也と叶汰の話を一部始終聞いた未奈は憤慨した。



「ね。私も不思議だよ。

たしかにあの二人が私みたいなド平民に近付いてきた時点で不自然だったんだよね。

まっ、いい夢見させてもらったし、私も未奈以外に言い触らす気はないよ」


「え、何で?

これ以上被害者が出ないためにも、せめて友達にくらいは話してもいいんじゃない?」



莉乃が妙に爽やかな顔をして、二人の暴挙を許すような発言をしたわけを、未奈には全く理解できなかった。


未奈は、もしも自分がターゲットだったら、とりあえず一発ずつ素手で殴った上で校舎中に注意喚起の貼り紙をして回るだろうと思っていた。


そして、親友にもそうすることを勧めようとしていたのだ。


未奈は困惑した。


心優しい友人が二人の悪行を触れ回る気がないことにさほど驚きはなかったが、莉乃の表情が晴れやかであることへの説明は、どうしても付かなかった。

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