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立ち去った征也と入れ替わるように、校舎から二人の様子を黙って見ていた烏丸叶汰が、莉乃の前に滑り込むように正座をした。



「一ノ瀬、ほんとに悪かった。

毎回毎回、言い訳のしようもない。

俺らの遊びなんかのせいで傷つけて、まじですまん。

まじでぶん殴っていいから。」



本気で申し訳なさそうに、額をグラウンドに付けながらそう言うと、叶汰は頭を上げて莉乃を見上げた。



「でも俺は、本気で一ノ瀬と仲良くなりたくて、

だんだん本気で笑って喋れることも増えて、

最初は嘘からでも、まじで嬉しかったんだ。

だからさ、良ければこれからも友だ…」



叶汰がその言葉を言い終える前に、彼の数十センチ前にある水溜まりの水が、彼の顔面に直撃した。


これは言うまでもなく、彼の正面にいる莉乃が、その水を蹴り上げた結果である。



「突き放してくれた征也くんの方がまだマシ!

今更になってまで、良い奴ヅラしないでよね。

もう顔も見たくないから。」



莉乃はそう言って、叶汰に背を向けた。


叶汰は正座を崩さないまま、自分の額に付いた土でさらに茶色くなった水が伝う顔で、まじでごめんな、ほんとに悪かった、と、莉乃の背に向かって繰り返した。

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