首の怪

女神なウサギ

第1話 首

 「おっそいよ拓哉たくや〜超待ったんだけど」

大学の食堂。机にうつ伏せで寝ていた明美あけみはこちらに気づくと不満そうに口を尖らせた。

「ごめん、お待たせ」

「剣道部の部長様はさすがモテモテですねぇ」

「そんなんじゃないよ。会議が長引いただけ」

「本当に?」

「ほら、アイスあげるから機嫌直して」

明美は棒アイスをみると嬉しそうに目を輝かせた

「ねえ、拓哉。このアイス当たりでるかな!?」

「出ることを願っているよ」

 明美と俺が出会ったのは1年前。大学の授業が隣の席だった。話してみると気が合って3ヶ月前に交際を開始した。休み時間はこうして2人でいることが多い。

 「やった〜当たりでた!!」

「マジで!?すごいじゃん」

「拓哉のおかげだよ」

「それほどでも。明美の日頃の行いじゃない?」

「もう、うまいこと言って。そうだ、今度の夜拓哉の家でデートしようよ。まだお家デートしたことないよね?」

「良いけどなんで夜?朝や昼から遊べば良いんじゃ」

「夜のほうが都合が良いの。ねっ、パジャマパーティーしよ」

「良いよ」

「やった〜じゃあ、日程はー」

「よし、決まったね」 

「ああ、首まで愛してダーリン」

「変なことを言うんだね」

 「またね拓哉」

「またね明美」

 約束の日の夜。道行く猫はそれを見て逃げ出し、起きていたカラスは鳴き叫んだ。

 ピンポーン

「来たよ、こんばんは~拓哉」

俺はそれを見て言葉を失った。インターホン越しに見る明美の首は宙に浮いていて胴体がなかった。

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首の怪 女神なウサギ @Fuwakuma

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