第10話

「私たちは、この女があんなところで一人でいたから心配になって声をかけたのそれなのに私たちを侮辱するようなことを言い始めたから注意していたのよ」

三人組のうちで一番派手な女がそのようにつぶやく。それに、合わせてほかの2人も同意するように頷く。


「と言っているけど、あなたはどうなの」

立花は風花に対して風花から見てどのようなことが起こっていたのかを話すように促す。

「私は、ただ本当のことを言っただけよ」

風花はそうきっぱりと言い放つ。

店全体に不穏な空気が流れだした。

「本当のことってどういうことよ」

先ほどの一番派手な女がそう言い放つ

「そうよ、美香の言う通りよ」

「あなた、何様のつもり」

3人は興奮し始め、しまいには美香が机の上を乗りだし風花の襟を思いっきりつかんだ。

「あんた、私たちに何が言いたいわけねえ、いい加減にしなさい」

そして、美香が右手を大きく振り上げ風花に対して一思いに降りかざそうとしたとき、僕は何とかそれを阻止しようと二人の間に入った。

「まあ、落ち着いて」

僕は、何とか美香を落ち着かせようとする

「話はなんとなくだけどわかったわ、風花ちゃんこの子たちにどうしてそんなこと言ったの」

立花は風花に対して優しく問いかける

「私はただ、三人がいきなり話しかけてくるからびっくりして、、、、、。心配してくれてるなんて思わなくて、、、」

風花は俯きながらポツリとそうつぶやく

「確かに、初めて会う人にいきなり話かけられて怖いのはわかるは、だけど相手をいきなり侮辱するようなことを言っちゃいけないんじゃないかしら」

立花は風花を論するようにそう優しく言う

「美香ちゃんたちも、相手がたとえどんな態度をとったとしてもいきなり殴るのはダメよね」

美香たちはただ下を見ながら静かにうなずいた。

「じゃあ、今回はお互いに非があったんだからごめんなさいして終わりにしましょう」

そう、話を聞く限り両者に非があり、あのようなことになってしまったのだ。だから、お互いに謝罪しておわりにするのが一番いいのだ。

「ごめんなさい」

美香たちがそうつぶやく

「ごめんなさい」

それに続くように風花もつぶやく

店全体が静寂に包まれる。僕は、ただことがあまり大事にならずに静まったことに安堵し、うまく場をまとめてくれた立花にただ感謝するあまりだった。



「じゃあ、もう一ついいかな。君たち二人はどうしてあんなとこに居たのかな」

立花は次は僕たちにここにいる理由を聞き始めたのだ。そうだ、僕たちが今ここの地にいるのが普通ではないのだ。僕は、どこまで説明すればいいのか、どうすればこの場をうまく切り抜けることができるのか頭を悩ませ続けていた。


「私たち、家出してきたのよ」

風花は立花たちにそう何も包み隠さず言い放った。


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