第13話 想いの強さ
家に帰宅した
想いが強い。
自分ではそんなつもりはないのだが、今回の場合は、他人の評価が正解になる確率が高い。ましてや、自分が作ったものなど
「どこが悪いかわからないんだよなー」
悩んでいると家のインターホンが鳴る。
いつもと同じように
どうせなら
「どう?」
「どうって言われても、
『たとえ君の運命が残酷でも誰かが手を伸ばしてくれる』という歌詞は言わずもなが、『偽りの気持ちほど辛いものはない』だったり、『好きに正直になってみよう』など、
「第一、その二つができないんだからアイツは悩んでんだろ? だったらもと違うメッセージの方がいいと思うんだよな」
「じゃあ、どういうのならいいの?
「サラッとひでぇこと言うな。うーん……」
悩んでいる
「なんも浮かんでこねぇや」
「何それ!」
「ごめん。ごめん」
人の気持ちを考えるの程、難しいことはない。その事実を痛感させられ、二人は悩みながらも歌詞のブラッシュアップを頑張っていく。
改善点として参考になるのは、
なら、その中間を取ればいいだけなのだが……
「それが浮かばねぇんだよな」
簡単にでてこれば悩んだりしていない。だから、先に進めないのだが……
「でもよ、この重さが
「長所?」
「あぁ。誰もできないことを平然とやってのける。でも、ただやってるだけじゃなくて、そこにはしっかりと芯がある。だから、俺のような芯の曲がった奴でも付いて行きたくなる。それがいいところだと思う」
今の
「わかったかも!」
「わかったって?」
「どういった歌詞を書けば
「マジかよ」
「うん。今書くから待っててね」
そう言ってノートにスラスラと『詞』を書いていく。
「なになに……『答えは君が出せばいい。たとえそれが望んでいなくても、自分で示した答えは後悔しないだろう。もし、後悔するのであれば、それは真実の答えではなかっただけだ』に『君の答えは君の胸にある。だから、君が答えを導き出していけばいい』か……
「でしょ!」
ただ、
だが、これが
たとえ、この想いが届かなくても。彼女は
一応歌詞が完成し、
これで歌は完成。あとは練習してデータとして記録して
「じゃあ、早速練習と思ったけど……
「まぁ、始めて一週間しか経ってないからな」
「ってことは、私が弾いて歌った方がいいってことだよね」
「そうなるよな」
ギターかピアノどちらにしようかと考えたが、ピアノの方が表現方法が多様なので、ピアノを選択。
いつもの喋っている時の声とは違い、やや低い声色。落ち着いた雰囲気の歌とマッチしており、今回歌っているバラード調のメロディとは相性抜群だ。
当然の如く、音程を外すことはほぼない。ピッチもしっかりと安定しており、声の安定性も申し分ない。
「歌の事になるとさすがだな」
いつもはおちゃらけている
歌い終わる。自分の歌声を録音したもの聴き、
「はー、やっぱ、初めてはダメだな。もうちょっと練習が必要かも」
「そうなのか?」
「うん、二日くらいは練習した方がいいかな」
「俺はそうは思わなかったけど」
「そうなの?」
「うん」
音楽経験の差がはっきりと出た意見だ。
だが、
それを二日で修正して完成形に持っていく。そこまでやって初めて人に伝えられる歌になるのだ。
今日も時間があっという間に過ぎる。
そして、二日が経ち……
それに
お互いに結果を待ち望んでいる。
最初は拒否していたが、あまりにもしつこいので渋々受け取り、イヤホンをしながら歌を聴いていく。
タイトルは『想いの強さ』。お互いの想いが強いが故の衝突をテーマに歌った曲だ。
ピアノ伴奏だけが流れる。最初は寂しさを想起させるメロディが流れる。
しばらくイントロが続いていくと、綺麗な音色で構成された女の歌声が第一声を放つ。
でも、心が熱くなってくる。音楽が好きだった頃の気持ちが刺激される。自分の心に正直に生きてみたいと思ってもいる。だが、体がそれを拒否しているため、今更と思うこともある。
曲を全て聴き終わる。
急ぎで作った曲だったため、二分半ほどしかない曲だった。
「こんな音楽で……しょぼいんだよ」
涙ぐみながら呟く。
だが、その言葉には
しばらく
決意をし、ある場所に向かうために。
音楽を届けた日、
「せっかくの土曜なのに最悪だ」
傘をさしながら、たくさんの人が歩いていくのを見つめながら、目的の人物が来るのを待っている。
しばらくして、派手な服を着ており、淡い赤髪の男が視界に映る。
写真を見せてもらっている
「よう」
肩を掴みながら声をかける。
急に触れられた男は振り向き、睨みつけるように
だが、
「ここで待ってれば来ると思ったよ。話をしようぜ。男同士で込み入った話をよ」
予想的中の
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