悲劇のハワイ旅行

沼津平成

悲劇のハワイ旅行

「計画A」と一日目

計画A


    

 ある土曜の東京発ハワイ着の特別客船の話をはじめましょう。あれはのちに「罰ゲーム号」とよばれるような、船でした……。

 

     *

     

「いまから、やるんだな」

 犯人がいった。

「ああ、そうだ」

 黒い覆面の男だ。

「いいな? 十秒前——」

 トランシーバーの向こうで、もう一人の黒覆面がカウントダウンをはじめる。

「六、五——」

「ちょっと待ってくれないか」

「なんだ? 計画が狂ったら大惨事なのだが」

 二人が早口になった。

「弾が……」

 引き金を押す。押す。何回も押す。

 引き金からカチャ、カチャカチャと音がした。カチャ。

「ばかいうなよー」はぁ、とため息をつく男。

「ごめん……」

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悲劇のハワイ旅行 沼津平成 @Numadu-StickmanNovel

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