筆者の創作における略歴が記された本エッセイ。
その艱難辛苦が記されている。
同調圧力、やりたくもない役割、便利に使われる才能。
時代性、環境的な問題、何より「志向と嗜好」の問題。
本文に記されたものを別の用語に置き換えると「サンクコスト効果」と、似ている部分が見受けられる。支払った代償を取り戻すのに、その後のコストが上回ると知っていながらやめられない事象を指す。
本文を読んでいただければ分かるが、これだけは言わせて欲しい。
決して誰かの「便利な道具に成り下がらないでくれ」と。
全く別の分野だが、私にも似たような経験がある。
才能がある存在は便利なのだ、代わりはそういないのだから。
以降、私は寛厳と拒絶するようになった。
「正当な報酬」や「確かな信頼関係」があるならいざ知らず、誰しも自分を大切にするべきだと本エッセイは教えてくれる。
私の心に本エッセイは染みるように刺さった。
言葉を失う程私には響いたのだ。
少し蛇足を入れる。
当初、私の創作論エッセイが一部引用されていたようだが、引用においては法的観点から見て問題なければ文字通り問題はない。出典元を明記し、正しく引用すればいい。
さて、そんなことはどうでもいい。
いやよくはないが、本エッセイは正に「昔語り」なのだ。
作者の創作の歴史に皆さんも触れて欲しい。
自分を大切にする為にも、目を通して欲しい。