第7話 《第六感》


 真由美はすぐに後悔した。


 素直になれずに、相手に求めてばかりいた自分にバッタリと出会うまでには、それから更に時間を費やした。


 気がついた時には、もう遅い。


 でも仕方がないな、と真由美は思う。


 怒って伸二からの電話に出なくなったのは真由美の方だったのだし。


 改めて考えれば考えるほど、あいつのことが結構好きだったことに気がつく。



 時間は変えられない。


 後には後悔が残るばかりだ。


 どんなに過去を反省して相手に懇願しようとも、その時にはもう遅すぎる。


 伸二は負傷した動物のような恰好で、自身の傷をなめているだろう。


 きっと、胸には可哀想なほど、熱い疑念心が渦巻いて。



 自分の人生を振り返ると、本当に後悔することの連続だらけだったなと思う。


 特に男に関しては、後悔しないことなんてなかった。


 気がついて後悔したときには、もう遅い。


 男は私の前から去って行き、二度と帰らない。


 こんなことを、私は一生続けていくのだろうか、と真剣に悩んでみたものの、真由美の頭には、なんの解決策も浮かんではこない。


 当たり前だ。自分で直せるものなら、とっくの昔に直している。

 

 出会いと別れの間(はざま)を、めまぐるしく泳いでいるこんな現状とは、速やかにオサラバしているだろう。


 

 でも、そう、もしかしたら、何とかなるかもしれない。


 あの貼り紙を見た時、私は瞬時にそう思った。


 第六感は、私の中にもきっとある。


 それがピンときたのかもしれない。

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