第52話 民謡
「今の歌、素敵でしたね。それって、民謡ですか?」
ミリアは微笑みながら答えます。「ありがとう。そう、これは私たちの村に伝わる古い民謡なんです。昔から伝わる歌で、よく母が歌ってくれました。」
健一は興味深そうに頷きます。「そうなんですね。とても美しい歌ですね。村の歴史や文化を感じることができます。」
ミリアはさらに話を続けます。「この歌は、私たちの村の風景や季節の移り変わりを歌ったものなんです。聴くと故郷の風景が思い浮かぶんですよ。」
健一は感心しながら、「それは素晴らしいですね。ミリアさんの歌声でその美しさがさらに引き立っていますよ。」
ミリアは少し照れながら、「ありがとう、健一さん。でも、あなたの村にも素敵な民謡があるんでしょう?」
健一は笑顔で答えます。「ええ、ありますよ。でも、ミリアさんの歌声には敵いませんね。」
二人は微笑み合いながら、再び川岸の風景を眺めます。
「ねぇ健一さん、あなたの村の民謡が聞いてみたいです」
「俺の村、ですか?」
「はい、ぜひ聞いてみたいです!」
そういわれて健一は少し照れくさそうにしながら、「花(春のうららの隅田川)」の歌を歌い始めました。
「春のうららの隅田川、上り下りの船人が…」
ミリアは嬉しそうに聞いており、彼女の笑顔が健一の心を温かく包み込みました。歌い終わると、健一は少し恥ずかしそうに言いました。
「こんな感じでいいのかな?」
ミリアは拍手をしながら答えました。
「とても素敵でした、健一さん!その歌、すごく好きです。」
二人はしばらくの間、楽しいひとときを共有し、健一の心の中に新たな絆が芽生え始めていることを感じました。
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