第5話:不法投棄されたガイノイド。

「で?なんであんただったの?」


「え?」


「だから・・・なんでネルちゃんは自分の脳殻の回収にあんたを指名したの?」


「なんか自分の一番近いところにいる人で一番出席番号が早い苗字の男を探したら

俺だったらしいです」


「ああ・・・そう言うことね・・・で?あんた名前は?」


阿井あいです・・・阿井 正樹あい まさきです」


「納得」


「で?ネルちゃんのためにガイノイドの義体を探して欲しいってことだろ?」

「そうね、方法はふたつあって脳が入ってない体だけのアンドロイドやガイノイドをお上の許可とって合法的に売ってる店かまたは闇業者を利用するって手だね」


「まあ闇はガイノイドの数もパーツの数も少ないけどね」

「懇意にして業者はいるから話はつけられると思うけど僕はお勧めしないね」

「買ってすぐぶっ壊れたら捨て銭でしょ」


「合法が無難でいいと思うけど、選ぶならどっちかだね・・・まああんた次第だ」


「そうなんですか・・・でもな〜どっちにしてもタダじゃないだろうし、借金

作りたくないしな」

「どこかにタダってガイノイドの体ないですかね」

「しかも顔が俺の好きなのタイプなら言うことないんですけど」


「あんた・・・それは贅沢ってもんだよ・・・ある程度は妥協しないと」


「まあ、うちの倉庫にも動かないガイノイドは何体かあるけど・・・それは

いずれ修理して闇業者行きだからね・・・いい金になるんだ・・・」


「でも・・・おお、そうだ」

「そう言や〜倉庫の外に放置したままのガイノイドが一体あったわ」


「僕んちの倉庫に入りきらないガイノイドを倉庫の外に三体ほど置いと

いたらさ、次の日みたらガイノイドが一体増えてんだよ」


「動かなくなったガイノイドを僕んちの倉庫の前に不法投棄してった奴が

いたみたいでさ」


「すっかり忘れてた」

「そのガイノイドだけどね、たぶん風俗で働いてたんじゃないかなって思う

くらい可愛い顔してるから・・・」

「そういう環境で働いてたんだろうなって分かるような派手な化粧してたし

派手な衣装も着てたしね」


「たぶんさ、店で働いてたガイノイドが動かなくなったからそれで捨てよう

と思って処分場に行く途中、僕んちの倉庫の前を通ったんだろうね・・・それで

外に並んでる僕んちのガイノイド見てこれ幸いと、そのガイノイドをポイって

やっちゃったんだと思う・・・まあ処分するのもお金かかるからね」


「普通の区のゴミ箱に捨てられてるガイノイドもいるくらいだからさ」

「一時でもお世話になったんだろうに・・・大事に扱ってやれよって思うよね」

「アンドロイドとかガイノイドって電化製品と同じ扱いだからさ」

「ちょっとエラーやバグがでたらすぐに捨てられるんだよ」


「あんた、その子でよかったら見てみる?」

「たぶん僕の腕なら多少の故障なら直せると思うからさ・・・」


「その子の体でいいならタダで持ってってくれていいよ」

「それなら僕も捨てに行かなくて済むし助かるから・・・」

「このまま捨てるよりはいいでしょ?」


「え?いいんですか?」


「不法投棄だからね・・・僕のものでもないし・・・」


「不法投棄されたガイノイドも、あんたんちのネルちゃんも、もう誰のもの

でもないんだから新しいガイノイドが生まれたって誰にも分からないし関心も

持たないでしょ」


ネルちゃんの脳殻と一緒にいるよりちゃんと体を持ったガイノイドがいたほうが

あんたの生活感、劇的に変わるよ。

それに男としてガイノイドになったネルちゃんとしたいこともできるようになると

思うしね。

言ってる意味分かるよね・・・。


僕んちの不法投棄されてるガイノイドはセクサロイドだから・・・。


つづく。

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