第二章 二度目の初めての出会い

揺れ動く電車の中で昔のことを思い出す男性が心の中で叫ぶ。

(なんで昔の俺は自動ドアを我が右手の魔力で開けてやるとか言ったんだぁ!)

そう心の中で叫ぶのは西屋 輝(にしや あきら)大学3年生、物理科学科で日々、過去の黒歴史を消すための研究をしている。

名目上は過去に起こったことを解明したいと言っているがそんな気持ちは一切なく昔の失態を取り戻したいと考えている。

今日は大学で何か良い話があるらしい

内容は聞かされていないがその話を楽しみに電車を降りるのだった


同じ学部の友達と談笑する

『今日の話、良いことらしいな』

友達がどうでもよさそうに答える

『どうせ就活とかの話でしょ』

『そんなこと言わず聞こうぜ』

気分良く輝が言う

そのうち学部の偉い人が前で全員に聞こえるように言った

『この学科に女性が来るぞ!』

その一文を言った瞬間、ほとんどの人が立ち上がるぐらいの喜びに満ち溢れた

『女性がここに来るなんて想像もしてなかった』

輝がぼそっと呟く

前に立っている人がみんなを落ち着かせる

『諸君の喜びは良いがくれぐれも失礼のないように頼む。今まで女性が1人もおらず多様な視点から物事が見れていないのではと問題視されていたが解決できるかもしれない。』

そんな忠告虚しくみんながついに春が来た、とそう考えた。

輝もその有象無象の1人

(彼女いない歴=年齢の俺が変われるかも)

しかしそんな想像をしつつも1人から好かれるわけないかと思ってしまう

『今日は特にこれ以外の連絡はないから各々研究や帰ったりしてくれ』

その合図とともにみんなが各々の行動を始める

(俺は特にやることもないから大学内でぶらついておこうかな)

そう考えた輝は早々に部屋を出ていく


輝がのほほんと歩いていると前の方から女性が走ってくる

(女性の友達とか片手で数える程度しかいないし似てもないから関係ない人だな)

そう考えていると女性の方から

『何学科の人ですか?』

いきなり話しかけられた輝はテンパりながら

『えっ、あ、物理科学科です』

女性は安心したような顔で

『よかったー 物理科学科の人を探してたんだ』

輝はパッと思いつく

(この人が新しく入ってくる女性か)

輝はそう思い丁寧に対応する

『新しく物理科学科に入る方ですね。お話は先ほど聞きました。何か聞きたいことがあるのでしょうか?』

『そうそう聞きたいことがあって探してたんだ その科に西屋 輝って人はいる?』

元気そうな女性はそう聞いてきた

輝は全く知らない女性から自分の名前が出てきてかなり困惑しながら答える

『自分がその西屋 輝です』

女性はびっくりしたような表情で言ってきた

『まじ?私ドンピシャで当たるとか超運いいじゃん』

続けて女性が

『そんな丁寧な敬語やめてよ 初対…』

何か言いかけたところで切り返すように言う

『あー名前言ってなかったね 私は星見 麗美(ほしみ れみ)だよ。これから同じ学科でよろしくね』

輝は何を言いかけたのか疑問に思いながらも答える

『こちらこそよろしくお願いします』

麗美は少し顔を膨らまして

『同じ学科だし敬語禁止で!名前も下で読んでね』

輝はいきなりの接近に不慣れな女性とも相まって口をゴモゴモする

『う…うん』

『返事ははいでしょ?』

『は、はい!』

『よくできました』

なかば強制的にOKしてしまったが輝自身も女性経験を作る意味でも良いだろうと思う

『友好の印に学科まで連れて行ってね』

輝はここで思う

(元からこれが思惑だったのでは?)

放置するわけにも行かないのでしぶしぶ学科に連れ行くことに

向かっている最中、麗美が

『輝君はなんでこの学科に入ろうと思ったの?』

『え、そのー過去についてもっと解明したいと思ってタイムマシンを作りたいんだ』

(本当のことは言えないけどタイムマシンを作って黒歴史を消すところは本当だからいいだろう)

『輝君すごく夢があるんだね。応援してるよ』

(!?)

輝は初めてタイムマシンを作ると言ってバカにせずに応援してくれる人がいるんだと思う。

『初めてだよ。タイムマシンを作ると言ってバカにせず応援してくれる人なんて』

正直にそう言うと

『いいじゃんそれで幸せになる人も嬉しくなる人もできるからね』

話してるうちに学科のところまできていて

『今日は案内してくれてありがとう また困った時は優しい輝君を頼るね』

そう麗美は言い残し離れて行った

(なんだったんだあの女性。すごく元気でいい子だったな)

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