マンション前の子

天川裕司

マンション前の子

タイトル:マンション前の子


学校帰り。

僕の住んでるマンション前に到着した時、

ロビーの前で傘を持って

ランドセルを背負ってる女の子が居た。


その女の子、かなり可愛く、

モロ僕のタイプだった。

でも奥手な僕だから、何も言えず

チラチラ見ながらその子の前を通り過ぎるだけ。

でもその時、

女の子「ん、あ、キミ、私の事見えるんだ」

といきなり言ってきた。


「私の事見える」→「本来なら見えない」

→「幽霊」?

の図式が瞬時に出来上がり、

「え?」となったあと恐怖が追いかけてきて、

僕は足早にそこを立ち去った。

僕はこう見えてホラー物の本なんかを

好きでよく読んでたから、

こんな展開も何となくよく知ってたんだ。


そしてエレベーターに乗り込み、

我が家のある5階まで速攻で行った。

でもエレベーターに乗ってる時に思ったけど、

「はぁ、あの子のいたずらだ」

と常識が甦ってきてそう思い、

急いで逃げた自分が恥ずかしかった。


チン♪と到着音が鳴り、エレベーターを降りて

通路を歩き、部屋に戻ろうとした時…


女の子「あ、キミ、さっきはごめんね。脅かすようなこと言っちゃってw」

と階段の前にその子が立っていて、

素直に謝ってくれた。


「あ、いや、べつに」

なんて素直で良い子なんだろう。

可愛い上にこんな性格。

僕は益々その子に惚れちゃった。


でも玄関に入った時、ちょっと疑問に思った。

そしてその夜、両親に聞いてみると、

なんでも僕がまだ赤ちゃんの時。

このマンションのエレベーターで女の子が1人、

雨の日に事故で亡くなっていたと言う。


あの傘…速攻でエレベーターで上ってきたのに

ほとんど待つ事なく階段前に立っていたあの子…

僕が小学校3年生の時の記憶。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=LsTut3FiDTk

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マンション前の子 天川裕司 @tenkawayuji

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