君は、誰?

羊丸

君は、誰?

「ねぇ、怖い話しましょ」


 お泊まりの最中に大学生の有美の言葉に同じ大学生の結衣、真美に美月が「えっ」と言葉を漏らした。


「えーー。怖い話、嫌だよ。私、そうゆうの苦手だって知ってるでしょ!!」

 

 結衣は真美に抱きつきながら嘆いた。


「まぁまぁ。いいじゃないのよ。だって夏だよ! 夏といえばホラーに限るじゃない」


 有美は満面の笑みを浮かべさせながらそう言った。


「ホラー以外にも色々あるわよ。でも確かに、心霊動画みるよりも怖い話をした方が臨場感を感じられるわね」


 美月の言葉に真美は確かにと同意の声を漏らした。


「ちょっと!! 真美まで!」と結衣

「いいじゃないのよ結衣。こんなのそうそうないんだからさ。でも、どんな話でもいいの??」


 真美は有美にそう言うと、「なんでもいいよ」と一言言った。


「なんでもいいよって、それって作り話でもいいってこと」

「そうそう! なんか思いつく限りで大丈夫だよ!」


 有美の言葉に二人はすごい発想だなと思っていると。


「私から言ってもいい」


 横から美月が手を上げて言った。


「えっ。美月からなんて珍しいね。でもいいよ! どんな怖い話をしてくれるの??」


 有美はワクワクとした表情を浮かべながら美月を見つめていた。結衣は真美に抱きつきながら生唾を飲み込んだ。


「これは、ある女の子たちのお話なの」


 美月はそう言って話し出した。



 ある日、4人の女の子は肝試しをした。場所は闇が深い廃墟。その中は実に荒れ放題だった。


 他の人が来ていたのか、壁には多少落書きも施されていた。埃の匂いを吸わないようにと口を押さえていると一人の女の子は何かを踏んだ。


 見てみると、それは青色のブレスレットだった。あまりにも綺麗だったため女の子は誰にも知られないようにポケットにそれを入れて持ち込んだ。


 何もなかったため、女の子たちはガッカリしながらその廃墟を後にしたが、持ち込んだ女の子は数日ごの不幸がいくつかあった。


 階段から足を挫いたり、誰かに背中を押されたり、変な電話が出たりなどがあった。


 それに悩まされたその女の子はとうとうそのブレスレットを捨てた。


 それで終わったと思った。けど違った。ある日、女の子が部屋で寝ているとふと寒気を感じた。思わず目を開けるとそこには女が立っていたの。


 体が動けずにいると、その女は顔を向けた。頭から血を垂らした状態のまま、目をカッと開くと。


「よくも私の、私のブレスレットを捨てたなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」



「キャぁぁぁぁぁぁ!」


 美月の言葉に結衣は強く舞を抱きしめた。


「うぐっ、おい。結衣、苦しいよ。というか、その話、怖すぎ」


 真美は震える結衣を撫でながら言った。ここまで本気な怖さが来るとは思ってはいなかったのだろうと思ったからだ。


「あはは! 結衣怖がりすぎだよ。もぉ」

「だって怖いだもん!!! それに話かたがリアルすぎてやばいんだもん!! いつから上手くなったのよそんなに語り手みたいなの。今日お泊まりで本当に良かったよ!」


 結衣はわんわん泣きながら叫んでいた。真美はそんな光景に笑ったが、一人だけ笑っていない人物がいた。


 それがだ。有美はガタガタと震えていた。


「ねぇ。有美どうしたの? あまりの迫力にビビったか? ていうか、さっき電話きていたけど、誰だったの?」


 真美は話の最中に有美が電話に出たため、それを含めて有美の迫真の語りにニヤニヤしながら質問をした。

 

 有美は顔を青くさせながら顔を上げた。


「二人もと、話を聞いて気づかないの?」

「えっ」

「この前、私たち行ったじゃない。廃墟」


 震えながら有美は答えた。


「おまけに、あれに入ってから美月、色々と不幸にあったことだって」

「あっ」


 二人はその言葉に思い出した。それは1ヶ月前に廃墟を訪れた際から美月は何回か不幸続きが起こっていた。


 おまけに、彼女の腕には青のブレスレットも身につけていたことも思い出した。


「あっ、あれか。すっかり忘れてたよ。というか、これ本当にあった怖い話をしたのかよ。自分が怖い思いしたのに。というよりも、廃墟からそんなもん持ち込むなんて、自業」

「それだけじゃないのよ!!!」


 有美は叫びながら机を叩いた。あまりの行動に真美と結衣は肩をびくつかせた。


「えっ。ねぇ、さっきからどうしたの真美。あなたが言い出したじゃないのよ」

「そうだよ。結衣の言う通り。なんでそんな怯えてんだよ」


 二人がそういうと、真美は震えながら話した。


「さっき、お母さんから電話があって、美月が、美月が事故にあって、さっき亡くなったて電話が、来たの」


 震えながら有美は答えた。その話に真美と結衣は「は?」と言葉を漏らした。


「なっ、何を言って」

「本当なのよ! さっき、息を引き取ったて、連絡が来たのよ。それに、そんな不謹慎な嘘をつくなんて、ないでしょ。ましてや、娘の友人を使って」


 有美は息を整えながら二人に向かって言った。


 そこで二人は凄まじい悪寒が右から伝わった。


「えっ。ちょっ、ちょっと待ってよ。じゃあ」


 結衣と真美はゆっくりと、右を見た。そして言った。


「お前、誰なの?」


 真美はそう質問した。それは、私たちの目の前にいる

 

 その言葉に、ニッコリと微笑みながらいつの間にか右手首につけていた青のブレスレットを撫でて言った。




「そんなことはどうでもいいからさ、怖い話の続きしようか」




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