あの日の君へ
てん
第1話(未完)
「君が自分で1人を選んでいるつもりかもしれないけれど、もしかしたら他の人に1人を選ばされてるだけかもしれないのよ」
「しってるよ。僕がこんな人間なんだから、選ばれなくて当然さ。当然だからこそ、僕はその思考が過ぎる前に自分から1人を選んで、その恐怖から逃れようとしているだけなんだ」
「そしたらずっと1人じゃない。私ももうそろそろ死ぬんだし」
「……それは、そうだけど」
彼女とまともに会話をしたのはこれが最後だったように思う。
このあとすぐ彼女は学校に来なくなった。
その当時はしらなかったけれど、持病の悪化で緊急入院になったそうだ。
彼女がいなくなったことで、僕は話し相手がいなくなった。
唯一自分を理解してくれる人物だと思い込んでいた僕は、その人に捨てられたことの反動で、大学に入ってからは無理をして他人と会話をするようになった。
人気者になった僕を見せつけて、僕を捨てたことを彼女に後悔させてやろうと思ったのだ。
高校を卒業するまでそのままでいたのは、彼女がもしかしたら戻ってくるかもしれないという淡い期待と、それまでの彼女との思い出に自分なりに敬意を払ったつもりだった。
彼女も友達がいないと言っていたけれど、僕とは違って、なんだかんだ彼女と話をしていた人はいた。
数年後、その人から彼女の訃報を聞いた時は驚いた。
そもそもすでに学校を卒業していたし、高校時代に連絡が残っている人はもちろんいない。
高校時代の君なら探すのに骨が折れるかと思ったけれど、大学での変わり様をSNSで見たのだろう、一瞬誰かと思ったと笑っていた。
あの日の君へ てん @kare_pantenten
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