戦場の魔法少女
立花恒星
第1話プロローグ
「私、貴方に会えて本当に良かった。」
少女、杏は目に大粒の涙を貯めながら叫んだ。
最初の頃よりも明るい橙色になった髪を靡かせる。
何種類のもの花が咲く丘で杏は立っていた。
ここは嘗て病院があった場所だった。
杏は一つ一つを思い出しながら周りを見た。
あの頃の杏は大変だった。
誰よりも生きることを諦めており、
誰よりもそんな自分を嫌っていた。
成長するに連れて辛くなり、
自分を殺したくもなってしまった時もあった。
それだけ杏にとって、
あの学園生活、そして戦場で戦う日々は過酷な日々だった。
それでも杏は生き続けた。
嫌いな自分を好きになってみようと思えた。
それはとある少女のお陰ともいえるだろう。
杏はゆっくりと息を吸ってもう一度叫んだ。
「私、貴方に会えたからこんなにも生きようと思えたの。」
杏は鼻声になりながらも叫び続けた。
あの頃のおどおどした自分ではない、
成長をした自分を見てほしくて叫んでいる。
今、杏は杏の花のように色づき満開に咲き誇っているのだから。
あの少女に見てほしくてたまらなかったのだ。
今から始まる物語は少し残酷で暖かい話である。
嘗て少女達は魔法少女という名の兵器として戦っていた歴史の話である。
そして、これは杏達魔法少女がそんな運命に抗いながら成長していく、
そんな話である。
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