001

 アホのマリウエルが俺に喧嘩を売ってきて、地上領を全て失ってから暫くの時が経った。


 未だにふざけた提案しかしてこないので、いい加減飽き飽きしていた。早く攻めてくりゃ良いのに、とか連日で思うくらい、グダグダやっていた。


「まあまあ~……今回の件はマリウエルが全面的に悪いですからぁ~。何かするにも大義名分が必要ですよねぇ~?それも無いので逆に困っているんですよ、きっとぉ~」


 ニコニコしながらお気に入りの海鮮塩ラーメンを啜るメデア。海界の姫様が連日店に来てラーメンを啜っていると言うね。


「お前、毎日毎日来て、誰も文句言わねーのか?」


「文句?誰が言うんですかぁ?」


 本気で「?」って表情をした。コックとか、お付きにだよ。そいつ等のメンツってのもあるだろ?


「ま、まあ、お前も啜るの上手になったよな」


「はいぃ~!やっぱりラーメンは啜ってなんぼですねぇ~!セレスさぁんやルシフさぁんの言う通りですぅ~!」


 ずるずるずるずると。うるせーくらいに。


「追加のギョーザ、おまちどうさんにゃん」


「ありがとうございまぁすルルさぁん。あ、カイトさぁん、お醤油切れていますんでぇ、補充いいですかぁ?」


 はいよ、とルルに空になった醤油差しを渡した。


「メデア様もすっかりカイトさんのラーメンのファンになったにゃん」


 醤油差し受け取りながら言うルル。まあ、確かに嬉しい事だが、ラーメンは塩分と脂の塊なので、毎日食べるのはお勧めしないのだが……


「ま、まあまあ、それはいつか偉い人に言うとして、龍族の国の行き方ってやっぱりどうにもならんのか?セレスやルシフもお手上げだっつっていたけど」


 箸でギョーザを口に運んで、もぐもぐしながら答える。いや、食ってからでいいんだけど……


「まあ、無理ですねぇ。海界に来た龍族に聞くって手もありますがぁ……海鮮ギョーザ美味し!」


 うん、ギョーザを褒めて貰えて嬉しいよ。だけど、食ってからでいいから答えてくんねーかな?


「セレスとルシフが言うには、天界、冥界に来た龍族はほぼ間違いなく喧嘩売りに来た奴なので、話なんかできねーとか。出来そうなのは地上と海界くらいだって話だったぞ?」


「それは海界も殆ど同じですよぉ~。まあ、やはり一番チャンスがあるのは地上、それも人間の国だと思いますねぇ~。人間は亜人よりも霊力も無いし身体能力も弱いですから、龍族からすれば脅威にならないんで、暇潰しに来る事が多々ありますからぁ~」


 やっぱそうか…セレスもルシフも同じ事を言っていたしな……逆に今ならチャンスかもとも言っていたな。

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