白花冥幻譚

浅里絋太

序章

設定・登場人物




  白花は 穢れし土へ根をはらむ


  花開きては 浄しなるかな






 ようこそ、おいでくださいました。


 この文読ノ宮ふみよみのみやへ。


 かの『瘴気禍しょうきか』の物語について、お知りになりたいと。――さようでございますか。


 まずはこちらにて、かの物語の登場人物や、背景について読まれてはいかがでしょう。


 あるいは次の本編から読まれても、問題なくお楽しみいただけます。


 すべては、お気に召すままに。




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 世界について

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▼舞台

 遥か古代に夜久爾やくにという世界があり、武家国家を中心としたいくつかの国が、緊張と融和の関係を繰り返していた。

 中心的な国のひとつに、馬稚まち国があり、その国内に白ノ宮しろのみやという、巫女組織があった。


▼白ノ宮

 白ノ宮は、大巫女を中心とした強大な呪力を誇る組織である。建築は美麗な白木の設えであり、本宮と七つの外宮からなる。

 巫女たちは常に白花しろはなと呼ばれる万年花を儀式に利用し、大切に扱ってきた。



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 神と信仰について

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▼狭世

 現世うつしよは現実世界。常世とこよいわば霊界。

 現世と常世の間にあるのが、狭世はざまよ

 巫女たちはこの狭世へ出入りして、神に接触したり、霊気や瘴気を操ったりする。


▼霊気と瘴気

 霊気は狭世を介して世界を対流している。霊気が滞り濁ったものが瘴気であり、瘴気は人の心などに感応し、瘴魔となったり、瘴気病みを発病させたりする。


白花しろはな

 自然に咲く万年花でありつつ、日月ノ長神と同一視される象徴。白花紋(白い八弁の花びらの図象)に象徴される。

 白花ノ浄歌『白花は 穢れし土へ根をはらむ 花開きては 浄しなるかな』がことあるごとに奏上される。


日月ノ長神ひつきのながかみ

 東西の二つの頭を持つ、銀色の蛇の主神。西の顎で月を噛み、東の頭で太陽を噛むとされる。


火津真ノ神ほつまのかみ

 太陽と光や天体を司る男神。黄金の光輪で象徴される。


水奈弥ノ神みなやのかみ

 海と水と生命を司る女神。水瓶で象徴される。


冥摩ノ神くらまのかみ

 死と腐食と灰を司る女神。黒珠子の花という、黒い大きな花に象徴される。


烈賀王れつがおう

 元は人の王でありながら信仰を集める、戦争と勇気と旅の神。



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 組織や国について

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銀狼衆ぎんろうしゅう

 瘴魔退治専門の侍集団。生きた年数で階級が決まる。瘴魔を倒すため、独特の戦術を使う。


馬稚まち

 夜久爾の世界の中心的な国のひとつ。白ノ宮を擁するが、その白ノ宮の影響力を倦厭する勢力が目立っていた。


楼迦ろうか

馬稚国の西にある帝国。西端に日暮ノ峡を有する。



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 登場人物

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蓮二れんじ

 かつて瘴魔退治専門の侍集団にいた青年。沙耶の監視と護衛を兼ねて、西の地へ向かうことになる。巫女たちには深い不信と恨みがある。


沙耶さや

 水奈弥ノ神と縁を結んだ三位巫女。瘴気を体に吸収し、心身を削り浄化する、霊水の力を授かった。

西の地に生贄として赴く。


雪凪ゆきな

 烈賀王と縁を結んだ一位巫女。馬稚国では武神とみなされているが、その力は謎に包まれている。




 それでは、あなたさまに、白花の浄めの、あらんことを。


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