第3話

壮之佑と山岸がエマニュエルの元で訓練を積んで数日が過ぎた頃、彼らは彼の戦闘を初めて目の当たりにすることとなった。その日は訓練が終わり、疲れ切った体を引きずって宿舎に戻ろうとしていた時だった。


「壮之佑、今日は本当に疲れたな。エマニュエルさんはマジでチートすぎるよ…」山岸がため息をつきながら言った。


「そうだな。でも、少しずつ俺たちも強くなってる気がするんだ。エマニュエルさんが言ってた通り、覚悟を持って訓練に挑めば、きっと結果が出るはずだ」壮之佑は拳を握りしめ、未来への希望を抱きつつ答えた。


その時、突如としてエマニュエルが彼らの前に現れた。彼の表情はいつになく険しく、何か緊急の事態が発生したことを感じさせた。


「壮之佑、山岸、すぐに準備をしろ。我々は今から仕事に向かう」とエマニュエルは短く言い放った。


「仕事…ですか?」山岸が戸惑いの表情を浮かべた。


「そうだ。私の役目はこの王都を守ることにある。今日は特に厄介な相手が現れた。君たちにも現実の戦闘を見てもらう必要がある」エマニュエルはそう言うと、二人に戦闘装備を手渡した。


壮之佑と山岸は装備を整え、エマニュエルに続いて王都の裏路地へと向かった。夜の闇が深く、街は静けさを増していたが、彼らの心中には不安と緊張が渦巻いていた。


「エマニュエルさん、相手はどんな奴なんですか?」壮之佑が歩きながら尋ねた。


「青の魔女と呼ばれるペニトーラ・ディ・ミーズだ」とエマニュエルは低い声で答えた。「彼女は非常に強力な魔力を持ち、王都を何度も脅かしてきた。今日も何かを企んでいるようだが、今夜は私が彼女を完全に制圧するつもりだ」


「青の魔女…?そんな存在が本当にいるなんて…」山岸は信じられない思いでつぶやいた。


「この世界には、人間の理解を超えた力を持つ者たちが存在する。ペニトーラはその中でも特に危険な存在だ。しかし、恐れるな。私がいる限り、君たちに危害が及ぶことはない」エマニュエルは二人を励ますように言った。


やがて、彼らは王都の一角にある荒廃した広場に辿り着いた。そこには青い光を放つ魔法陣が刻まれており、その中央に一人の女性が佇んでいた。彼女の長い青髪が風に揺れ、冷たい瞳がこちらを見つめている。


「来たわね、エマニュエル・フェンリー。お前が私の邪魔をしに来るとは思っていたわ」ペニトーラは静かに笑みを浮かべ、鋭い声で言った。


「ペニトーラ、お前の好きにはさせない。この王都でお前が企むことを見過ごすわけにはいかない」エマニュエルは冷ややかに言い放った。


「私を止めるつもり?面白いわね。だが、今回はそう簡単にはいかないわよ」ペニトーラは魔力を高め、その手から青い光の矢を放った。


エマニュエルはその一撃を瞬時に察知し、軽やかに躱した。しかし、その後もペニトーラは次々と強力な魔法を繰り出し、エマニュエルに襲いかかった。彼女の魔力は驚異的であり、壮之佑と山岸はその圧倒的な力に息を呑んだ。


「す、すごい…これが青の魔女の力か…!」山岸は呆然としながらつぶやいた。


「でも、エマニュエルさんはどうするんだろう…?」壮之佑も目を見張りながら、エマニュエルの動きを追っていた。


エマニュエルは冷静にペニトーラの攻撃をかわし続け、ついに彼女の隙を見つけた。その瞬間、彼は剣を抜き、一閃のうちにペニトーラの周囲の空気が一変した。彼の剣が光を放ち、魔女の放つ魔力を一瞬でかき消した。


「な…何をしたの…?」ペニトーラは驚愕の表情を浮かべ、その場で一歩後退した。


「これが私の力だ、ペニトーラ」エマニュエルは静かに言い放った。


次の瞬間、エマニュエルは彼女に向かって瞬速で接近し、強烈な一撃を繰り出した。彼の剣はペニトーラの防御魔法を一瞬で打ち破り、彼女を地面に叩きつけた。


「ぐ…そんな…私が…」ペニトーラは痛みに耐えながら、力なく呻いた。


「お前の時代は終わった、ペニトーラ。もう二度とこの王都を脅かすことは許さない」エマニュエルは彼女を見下ろし、冷ややかに告げた。


ペニトーラは悔しげに顔を歪めたが、やがてその力を完全に失い、地面に沈み込んだ。


壮之佑と山岸は、エマニュエルの圧倒的な力にただ驚愕するしかなかった。彼が一度も本気を出すことなく、青の魔女をねじ伏せたその姿は、まさに無敵と呼ぶにふさわしいものだった。


「これが…エマニュエルさんの力…」壮之佑は震える声で呟いた。


「そうだ、これが私の力だ」とエマニュエルは静かに答えた。「だが、君たちもこの力に近づくことができる。訓練を続け、覚悟を持ち続ければ、いずれは君たち自身がこの王都を守る存在となるだろう」


エマニュエルは二人に向き直り、優しく微笑んだ。その姿に、壮之佑と山岸は未来への希望を見出し、決意を新たにした。


「これからも私と共に戦ってくれ、壮之佑、山岸。君たちにはその力がある」


その言葉に、二人は力強く頷いた。彼らの冒険はまだ始まったばかりだが、エマニュエルという強力な仲間と共に歩む道が開かれたのだ。そして、その道の先には、さらなる強敵と未知なる試練が待ち受けていることを、彼らはまだ知らなかった。

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