前のエピソード――第165話勲章授与式

一馬の復讐心は、最初に訪れた町の冒険者ギルドに対するものでした。彼はそのギルドのランク制度に強い不満を抱いていました。冒険者たちがFランクからSランクまでの格付けに縛られ、飛び級が難しいという制度が、一馬には納得できなかったのです。力を持つ者が早く成長できない、才能が開花するのが遅れる――それが彼にとって許せないことでした。

一馬は自分の理念に基づき、エターナル・ホープ村に冒険者たちが自由に成長できる環境を提供しようと決意しました。彼はこの村に町役場、郵便局、そして冒険者ギルドを兼ね備えた巨大な複合施設を建設しました。この施設は、冒険者たちが集う中心地となり、冒険者の成長を支援するための拠点となりました。

しかし、一馬はここで止まりませんでした。彼は冒険者たちにもっと多くの仕事を提供するために各国を飛び回り、ギルドに様々な仕事を持ち込みました。その仕事の内容は、単なるモンスター退治だけではなく、探索、交易、さらには貴族の別荘の護衛や管理など、多岐にわたるものでした。冒険者たちは、単に力を試すだけでなく、社会に貢献しながら経験を積むことができる環境が整えられたのです。

さらに、一馬は冒険者たちが適切な訓練を受け、自分の実力を正確に把握できるようにと、ギルドの隣にトレーニングジムを建設しました。このジムには様々な測定器が備えられており、冒険者たちは自分の力やスキルを客観的に知ることができました。これにより、パーティーリーダーが的確に冒険者を選別でき、無謀な挑戦者が無計画に冒険に挑むことを防ぐ仕組みが整いました。

また、一馬は冒険者たちが知識を深め、技術を高めるための学びの場も提供しました。遺跡の仕掛けの解析や、強力な魔法を使えるようになるための学問を学べる学校が作られ、冒険者たちはただ力を試すだけでなく、知恵と技術を駆使して難関に挑むことができるようになりました。

エターナル・ホープが冒険者にとって理想的な拠点となった理由は、この村が貴族の別荘地としても人気を集めていることでした。冒険者たちは、高貴な顧客のために働く機会を得ることができ、その対価として高い報酬を得ることができました。これにより、村は急速に栄え、多くの冒険者が集まる活気ある場所となりました。

一方で、一馬はエターナル・ホープの成功とともに、最初に訪れた町の冒険者ギルドが衰退していく様子を冷ややかな目で見守っていました。彼はニヤニヤしながら、自分たちに不便を強いたそのギルドが、自らの固定観念と古い制度に縛られ、冒険者たちの支持を失い、少しずつその輝きを失っていく様子を楽しんでいました。彼にとって、それは自らが成し遂げた復讐の一環であり、彼の信念が正しかったことの証明でもあったのです。

こうしてエターナル・ホープは、冒険者たちにとって真の希望の場所となり、一馬の復讐は、結果的に多くの冒険者の成長と自由をもたらすものとなったのです。