第89話 武勇

ラグナールは日々の戦闘でその名を高め続け、やがて凶暴なモンスターを次々と屠り、町の安全を守る存在として欠かせないものとなりました。その中でも特に有名な出来事は、かつて一つの村を壊滅させた悪しき龍「バルムング」を討ち取ったことです。この龍はその名の通り、数々の村を焼き払い、人々を恐怖に陥れていた存在でした。


ラグナールは仲間と共にこの巨大な龍に挑みました。激しい戦いの末、彼は太刀「讃岐守藤原安綱」の鋭さを活かし、見事にバルムングの首を討ち取ります。そして、その巨大な龍の首を町に持ち帰ると、クレストンの町はお祭り状態になりました。町民はラグナールを称え、彼の功績を祝いました。


この偉業は瞬く間に国中に広まり、その名声はこの国「ヴァルフォード王国」の国王の耳にまで届くことになります。特に国王の皇太子「アルヴィス殿下」は武器マニアで、古今東西の武器を収集していることで知られていました。彼は「讃岐守藤原安綱」という名刀と、ラグナールが討ち取ったバルムングの首をどうしても見たくなり、クレストンの町を訪れることに決めました。


この知らせを受けた一馬は大慌てです。町を代表する立場として、皇太子の訪問が成功するよう、彼はすぐに皇太子の移動ルートの作成に取り掛かりました。そして迎えた当日、まず皇太子が見たいと要望したのは「讃岐守藤原安綱」でした。


一馬はラグナールを呼び出し、彼に鎧に向かって試し切りをしてもらいました。ラグナールが一振りすると、鎧は真っ二つに切り裂かれ、鋭利さと力強さが一目でわかる光景が広がりました。皇太子アルヴィス殿下はその威力に度肝を抜かれ、しばし言葉を失いました。


その後、皇太子はバルムングの首を目の当たりにします。巨大な首とその鱗を前に、「この太刀が龍の鱗を引き裂くほどのものだったのか」と改めてその威力に感心しました。皇太子は讃岐守藤原安綱の力と、それを扱うラグナールの技量を心から称賛しました。


そして、彼はクレストンの名物宿「フォレスト・エスケープ」に宿泊し、気持ちよく休息を取りました。心地よい滞在と温かいもてなしに満足したアルヴィス殿下は、一馬やラグナールに感謝の言葉を残し、国へと戻っていきました。この出来事は、クレストンの町と一馬の名声をさらに高める結果となりました。

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