友達

@nanamin100

友達

目が覚めたら、僕は死んでしまっていた。

死んでしまった僕は消え去っていった。それは木枯らしが吹きつけるある冬の出来事だった。高校二年生の僕は、冬休みを終えていつもどおり学校に通っていた。今のクラスにはそこそこ満足していて、あと数ヶ月でこのクラスが終わってしまうということに、なんだか寂しさを感じていた。しかし、クラスの中で唯一あいつだけはそんなこと微塵も思っていなかったに違いない。あいつは教室の一番後ろの角の席に座っていて、とにかくじっとしているやつだった。クラスのやつと話しているところを見たことがなく、いつも一人でひっそりとしていた。周りのやつらはみんな、あいつと一線を置くようにして過ごしていた。そんなやつと俺は、今日クラスの席替えで隣になることになってしまったのだ。もちろんあいつと話したことなんてないし、どうすればいいか分からなかった。なんとか話すきっかけを作ってみようと思った俺は、ためしに授業中に自分の消しゴムわざと落としてみた。消しゴムはころころと転がり、ちょうどあいつの椅子の下にいった。俺はすかさず「なぁなぁ、ちょっと消しゴム落としちゃったんだけど取ってくれん?」と声をかけてみた。しかしあいつは教科書を真剣に見ていて、俺の声に気づいていなかった。仕方なく俺は席を立って消しゴムを取りに行った。結局その後も何度か話しかけてみたが、一度も話してもらえず内心不満が溜まってきていた。結局あいつとは一回も話さず家に帰った。「せっかく話しかけてやったのに、無視しやがって。なんなんだあいつ」寝る前にもあいつのことが頭から離れなかった。あいつはあいつで心の中で、馬鹿な俺のこと罵ってるんじゃないかとさえ思った。灼けにあいつのことが俺の心を突いてきて、激しい怒りに体が熱くなったのだろうか、息苦しさに目を覚ましたその時、俺は衝撃的な光景を目にした。あたり一面が業火に焼かれているなか俺は一人その中にいたのである。すでに炎は家全体に及んでいて、どうすることもできなかった。まるであいつに憎しみに飲まれるかのようだった。身体が炎で焼かれて行く中、必死に脱出を試みて玄関に向かったが、徐々に意識が薄れていった。玄関まであと一歩というところで俺は力尽きてしまった。もうだめだと悟ったわたしは、薄れゆく意識の中で一筋の光を見た。目が覚めたら、俺は死んでしまっていた。目が覚めたとき俺はベットの中にいた。見覚えのない部屋に一人いて、何が起きているのか分からなかった。ベットの横の窓から外を見ようとしたとき、窓に映った自分の姿を見た。身体の皮膚は焼け落ち、髪は灰色に変色していた。「誰だお前」ふと出た自分の声に驚いた。喉は潰れ声も変わってしまっていたのだ。以前の自分の姿とはかけ離れた現在の姿に俺は呆然と立ち尽くすだけだった。程なくして、俺は玄関の前で倒れているところを救急隊員に見つけられて、近くの病院に運び込まれていたということに気づいた。その時だった。あいつが俺の部屋に入ってきたのだ。「なんでお前がここにいるんだよ」すると一緒に入ってきた一人の看護師が言った。「この子は突発性の難聴なんです。学校の子にも話してなかったみたいで...だから彼の側に行って優しく話しかけてあげてください。」そう言われると俺はあいつの側に行って話しかけた。「耳のこと気づいてあげられなくてごめんな。ずっと誤解してた」

「気にしないで、僕も耳のことバレたくなくて君を避けちゃってた。中学の頃事故で耳が聞こえなくなっちやって、それ以降の周りの子が僕の耳のことでからかってきて、それ以降周りの子と関わらなくなったんだよね。」それを聞いてふと思った。こんな姿になった自分を果たして周りは認めてくれるのだろうか。「僕達は友達でいようね」あいつのそんな言葉に少し救われた気がした。

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