乙女ゲームの攻略対象に転生したら、ヒロインも転生者でした〜「なんであたしの逆ハーレム要員にならないのよ!」とキレられても、俺は自由に生きます〜

水間ノボル🐳@書籍化決定!

第1話 乙女ゲームの攻略対象に転生した

「今日もフェリシアは美しいな……」

「本当にかわいいよ! フェリシア!」


 目が覚めると、俺の目の前に女の子がいた。

 黒髪黒目のかわいい女の子だ。

 で、その女の子を取り囲むように3人のイケメンたちがいる。

 

 (なんだ? この顔面偏差値の高すぎる集団は?)


 この光景に俺は見覚えがある……

 姉がハマっていた乙女ゲーム、ルーナ・クロニクルに出てきたキャラたちだ。

 海外旅行にする姉に、自分が帰ってくるまでにクリアしとけと、無理やりプレイさせられた乙女ゲーム。

 そしてここは、ルーナ・クロニクルに出てくるクレイン魔法学園の教室だ。


「クロード、キミはフェリシアを美しいと思わないのか?」


 俺の右にいた王子様、リシュリール・フォン・アルトリアが、俺を睨む。


「そうだよ! アリシアは世界一かわいい! なぜキミはフェリシアをかわいいと言わないんだ?」


 俺の左にいた少し背の低い公爵令息、アークレイン・フォン・フローゼスが、キレ気味に言ってきた。


 (クロードって、俺のことか……?)


 クロード・フォン・マギノビオ。

 王国の宰相の令息だ。

 身分は伯爵令息でこの3人の中では一番身分が低いが、有能な宰相の息子ということで貴族しか入れない魔法学園に入学している……という設定。

 俺はそんなクロードに転生してしまった、らしい。


 (マジかよ……)


 そしてクロードは、ルーナ・クロニクルの攻略対象でもある。

 リシュリールとアークレインも攻略対象だ。


「みんな! 喧嘩しないで! わたしはみんなこと好きだから……っ!」


 目を潤ませながら、フェリシアが叫んだ。

 フェリシア・ドラファール。

 平民の娘でありながら、魔法の才能を評価されて特別に入学を許可される。

 低い身分と不吉とされる黒髪のせいで、魔法学園で悪役令嬢にイジメられるが、攻略対象たちと出会って魔法園で成り上がっていく……そんなシナリオだ。


「すまない。フェリシア。クロードがキミの美しさを認めないから、つい怒りが湧いてしまって……」


 リシュリールがフェリシアに謝る。

 たしかにフェリシアはかわいい……とは思う。

 しかし、わざわざ口に出して褒めまくるのはわざとらしい気がするのだが……

 

 (まあ、乙女ゲームの世界だしな……)


 女性にとって都合良い世界。

 イケメンたちがあからさまにヒロインをチヤホヤする世界だ。

 事あるごとに愛を伝えるイケメンたちに、女性プレイヤーはキュンとするんだろう……

 でも俺は気軽に、女性に「美しい」とか「かわいい」とか俺は言いたくない。


「クロード、どうしたんだ? フェリシアをかわいいと言わないなんて、キミらしくないぞ?」


 アークレインが真顔で俺を心配してくる。

 ……たしかにクロードは攻略対象の中で一番情熱的なキャラだった。

 フェリシアを一番熱烈に愛する男で、常にフェリシアを誉めて愛を伝えていた。

 クロードはそういうキャラだったから、リシュリールやアークレインが不思議に思うのは当然か。


「うん。そうだな……フェリシアは俺の友達だよ」

「「「?!」」」


 フェリシア、リシュリール、アークレインの三人はひどく驚く。


 (俺、なんか変なこと言ったかな……?)


 だって俺はフェリシアのことをよく知らないから「愛してる」とまでは言えない。


「クロード。あなたがわたしのことをどう思っているのか、よくわかった……」


 フェリシアはプルプルと身体を振るわせている。 


 (えっ? もしかして怒らせちゃった……?)


「クロード……もうわたしに話しかけないでっ!」


 ぷいっと、フェリシアは俺から顔を背ける。


「フェリシアがクロードと話させないなら、俺もクロードと絶交だ」


 リシュリールは俺に背を向ける。


「うん。フェリシアを愛してないキミとは、もう友達じゃないから。死ね」


 アークレインは俺に中指を立てる。


 (これは追放された……ってことか?)


「お前らが友達じゃないって言うなら、もういいよ」


 俺は教室を出て行く。

 クロードは攻略対象だけど、そんな関係ない。

 俺は自由に生きてやる……!



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★あとがき


この話は連載候補です。


「続きを連載して欲しい!」

「この後のざまぁが見たい!」


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