第6話 気まぐれ

「今日は晴れてるな〜。快晴だ」


珍しく翠二が空を見上げている


「どしたん?厨二病発症か?」


「いや違うけど、なんか良いことありそうだなって思っただけ」


「昨日の夜、私がお休みのキスして上げたからかな〜?」


「は!? いつ?」


「昨日の夜。おにぃが寝た後、琴一ねぇと二人で。なにか問題でも?」


「問題しか無いんだが?は?毎日やってたの?」


「いや、毎日じゃないけど、おにぃが疲れ果ててベッドに倒れ込んだ後、

疲れを癒やしてあげてた」


「翠二、たまにへとへとになって帰ってきてはベッドにバタンキュー。こんなの、

家族として愛情をあげるのが義務でしょ。母さんもニコニコして見てたヨ」


「何だよそれ...。(うr)」


「あぁ〜!今おにぃ、(嬉)って言いかけた〜!」


「言おうとしてないから!ほら!もうすぐいつもの交差点だぞ!琴一、

それじゃぁまた帰路で!」


3人は駅から少し歩いたところにある交差点で高校行きの三葉、翠二と大学行きの

琴一で分かれる。


「二人共、がんばれよ〜!三葉〜、テスト、翠二に勝ってると良いな〜!」


「う〜ん!期待しててね〜!」




「今日、珍しくおにぃ、琴一ねぇと一緒に帰ろうとしてたけど、よほど良いことでもあったの?」


「ただの気まぐれだよ。こうやって笑ってられるとき、傍らには二人がいるからな。

ちょっと感謝って言うのかな?なんか嬉しくて。それだけ」


「私もいつも頑張ってて楽しいおにぃのこと大好きだよ!」


「わかったから!抱きつくな!」


「良いじゃ〜ん!カップルみたいなもんでしょ〜!」


「どこがだよ!ちょ、おい!コケるって!」


「はいは〜い!離れればいいんでs...っ!」


ガサッ!


三葉が地面に倒れると同時に、翠二が三葉を庇うように倒れ込んだ。


「大丈夫か、三葉?」


「あわわわわ!だ、大丈夫!直ぐ立ち上がるから!」


「怪我してないな?」


「うん...。怪我はしてないけど...。ごめんなさい、私のせいで...。」


「気にすんな。平常運転だろ?こっちも大丈夫だから深刻な顔すんな」


「おにぃ...!ありがとね!」


「よし、もう学校着くから。行くぞ」


「うん!」




「あ!会長、ちょっと良いですか?」


「あ、大丈夫です。あの、例の件ですよね?」


「そうですね。先生が、時間がもう無いのでできるだけ急げ、とのことで

した。」


「了解です。昼休みにいつもの場所で良いですか?」


「はい。問題ないと思います。」


「ありがとうございます。それでは」






3人は期待を胸に、午後の人があふれるホームに立っていた。

そう、高校が開く、オープンスクール形式の文化祭への期待を胸に。






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