第30話イタリア



アルバニアは、速くも降伏してきた。

言い訳のように無理やり加盟しただけで戦争をする気はなかったと・・・

そんな回答が返ってきた。


なので外交官2人、護衛兵士5人を乗せて輸送ヘリでアウバニアへ飛んだ。





イタリアは、三国同盟から早くも降伏して離脱した。


独裁者ベニート・ムッソリーニは、捕まって、銃殺刑に・・・

ムッソリーニと愛人ペタッチの遺体はミラノに運ばれ、ロレート広場に放置。

広場に集まった群衆は怒りに任せて遺体を侮辱し、殴る蹴るの暴行を行なった。

その後、遺体は広場内のガソリンスタンドに逆さに吊るされた。


ああ、資料としてタブレットに遺体の写真の新聞記事が・・・こんなの見たくない。

イタリアの人々は、それ程に憎かったらしい。


ムッソリーニの絶頂期での熱狂的な支持は、夢だったように消えている。

人間って分からないものだ。



それにしてもイタリアは、連合国に降伏して早くも日本に宣戦布告した事実はかわらない。

前から連合国にいるような振る舞いに、怒りを覚えるしかない。




それでも降伏をすすめた。

なのに無視を通し続けるイタリア政府。

なのでミサイルで軍事施設、ローマ都市を攻撃すると宣言したのに・・・無視だ。


「艦長、全のミサイル準備が整いました」


「全てを発射!!」


ミサイル艦からミサイルが発射された。



日本艦隊に向かったイタリア艦隊。


戦艦に1発のミサイルが命中。

大爆発で船底に大きな穴が・・・海水が艦内に浸水して一瞬で海に沈んだ。

大砲を1度も撃たないままに・・・

巡洋艦3隻が次々に爆発して沈んでゆく。


水雷艇は、木っ端微塵に爆発。

潜水艦も沈んだ状態で爆発。


多数が沈んだ。


飛行場から飛んできた戦闘機にもミサイルは、容赦なく襲い掛かる。


爆撃機を守るチェンタウロ戦闘機が次々に爆破。

その43機。

ヴェルトロ戦闘機も同じ運命を・・・3機がコースを離脱したが追尾するようにミサイルが命中。

35機が爆破。


「機長!戦闘機が!我々を守る戦闘機が破壊されて・・・これって攻撃です」


「爆弾を投下しながら引き返すぞ」


その時、ミサイルが当たる瞬間だった。


無線で知らせる暇もない。


艦隊や爆撃機が全滅して深刻な状況でも把握出来ないイタリア政府。






燃料タンクが爆発。


消火活動に走って来た兵士が2度目の爆発に巻き込まれる。

またも爆発が起きた。


「敵襲だ!敵襲!」


あっちこっちの軍事施設で爆発が連続で起きている。


高射砲でいつでも撃てるように空を見上げる。


「爆撃機が1機もいないぞ!なぜだ!!」


「何の音だ!」駆け込んできた上官に向かって・・・


「そんなの知るか!!」


その瞬間に吹飛んで、意識を失いなだら体が引き裂かれた。



多くの人は、痛みを感じないまま死んだ。


爆発音が鳴り止んだ時には・・・


なにもない。

めちゃくちゃな土地だけが残っている。






綺麗だったローマ都市が瓦礫が散乱する街へと変わってゆく。

あそこにも死体が、こっちには肉片が・・・まるで死んだ人々も体の凄いことに・・・


窓から街を見る人々。


「街が街が爆発してるぞ。なんでこうなった」


「ローマが燃えてるぞ」


「ダンテの裏切者の地獄より惨い、目も枯れて涙もでない。神は見捨てたもうた・・・」


「これが貴様が言った日本軍だぞ。どこが弱い軍なのか言ってみろ」


男は、白髪の男の襟首を掴んで締め上げる。


皆も同じように憎々しく、白髪の男を見ていた。


「よすんだ!!このままではローマが破壊されて消滅するぞ。日本に無条件降伏して、この惨劇を速く食い止めるのが先だ!」


1人が建物から飛び出して叫んだ。


「イタリアは無条件降伏するから爆発をやめてくれ!!」


またも飛び出して「降伏する!無条件降伏をするからやめてくれ!」


手を上げて「降伏する。攻撃はしないでくれ!」




「政治家の顔を確認した。無条件降伏を訴えてます」


「全ての攻撃をやめろ」




多用途ヘリコプターが政治家達の目の前に着陸。

武装した兵士5人が飛び降りた。


「イタリアの無条件降伏を受入れた。誰がラジオに向かって話す・・・話す場所は艦内だ」


人々は互いの顔を見て、白髪の男が前に歩きだす。


「わたしが国民に話そう。それが使命だから・・・」


多用途ヘリコプターへ乗せられて、頭上高く飛んで行った。


残った3人の兵士は、イタリア政府と話し合うことに・・・




1日目でギリシャのアテネが陥落して、ギリシャは無条件降伏した。


2日目でイタリアも敗れて無条件降伏。


その情報はヨーロッパを震撼させるのには充分であった。

敗戦国のドイツだけが「ざまみろ」と悪態をついたかも・・・


フランスとイギリス以外の国々は、様子見を決め込んだ。

もし攻めて来たら無条件降伏をすることを決めていた。



フランス政府は悩んでいた。


イギリスは、もっと深刻だった。

ウィンストン・チャーチルは、皆から非難の的になっている。


家には、石を投げつけられて、割れてない窓を数える程だった。

家族が警察に通報しても警察は、いっこうに来ない。



チャーチルは、フカフカの椅子に座り込み。

頭を抱え込んでいる。


「なんで、こうなった・・・」


気をまぎらすようにスコッチ・ウイスキーを飲んだ。






「こちら偵察機、日本艦隊を確認。フランスより200キロの海上にいます」


フランスは、悩みに悩んで無条件降伏を全員一致で決めた。


無線で「フランス政府は、日本に対して無条件降伏を受けます。なのでミサイル攻撃だけは発射しないでください」


「無駄な戦いをしなくて助かります。日本艦隊はイギリスに進路を変更してイギリスを徹底的に打ち砕きます。そのことをイギリスに知らせてもかまいません」


「え!話しても・・・良いのですか」


「フランスから最後通告をしてくれるなら・・・無条件降伏を受入れなければ最後の最後まで戦い続けると・・・イギリスは、きっと地獄を見るでしょう」


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