なんで太平洋戦争に

@katuniro

第1話過去の太平洋戦争へ




このガンマ領域のY型惑星№3328への輸送が終われば休暇予定だ。

どこへ行こうかと思案中だった。


そんな俺にアンドロイドのアキが「ワープエンジンのエネルギー充填が完了しました」


「え!もう、完了したの・・・」


「はい、完了しました」


やっぱりアキは優秀だな~ぁ。


「それじゃー出発」


「ガンマ領域№3328へワープします」


ワープに入った瞬間に・・・え!めまいが・・・





目を覚ました瞬間から艦内警報が鳴りっぱなしだ。


「一体何が起きたんだ」


マスターデッキの椅子に座った状態で、俺は寝てたのか・・・

横を見る・・・なんとアキがフリーズした状態で立っている。


あ!アキが動いた。


「申し訳ありません。エラーが発生して初期化リセットして、バックアップの再起動を行ないました」


「現状報告を頼む」


「・・・・・・艦内接続で残ったデータから推測ですが、天文学的数値の偶然の重なりでワープ中に過去へワープしたと判断されました。根拠は天体の位置情報から過去の位置だと判明したからです。残念ですが戻る方法はありません。しかし、悪いことより良いことがあります」


「何を言ってるんだ・・・過去へワープって・・・」


「ワープ航法のデメリットで過去へワープした報告が1件あります。その時は24時間の過去で、宇宙学で習いませんでしたか」


「習ったような・・・それより良いことってなんだ」


「地球が存在する過去へ戻ったようです」


そんなバカな・・・人類がワープ航法で宇宙へ飛び出した宇宙暦元年。

それから100年後に地球に彗星が衝突して無くなったハズなのに・・・

これは彗星の発見で決まりきった衝突コースだった。


人類の存亡が掛かった計画だった。

様々な試みが失敗して、残ったのがワープ航法。


なのでワープ航法は、人類の希望だった。

人類が住める惑星が発見されて、距離的に遠すぎた。

しかしワープ航法が解決。


人類の大移動が始まり、新たな惑星に住みついた。

それは宇宙惑星同盟の始まりの瞬間でもあった。



「ご覧ください。あれが地球です」


立体的に映し出される惑星は、青く綺麗なN型惑星の地球だった。

これが人類の起源の星なのか・・・



「あ!マスターのルーツ率70%の日本が攻撃を受けてます」


「え!俺のルーツって何? 日本? 」


「この時代は、人類は国を形成して国々で争っていました。マスター承認のDNA検査の結果で70%が日本人です」


「それって俺のルーツの国が攻撃されてるのか・・・なんで・・・詳しい情報を頼む」


「・・・・・・旧式電波をキャッチ・・・太平洋戦争末期の日本と判明。西暦1944年11月24日。攻撃されている都市は東京です。攻撃してるのは、アメリカ合衆国のB-29。長距離戦略爆撃を想定した設計でボーイングが開発。空の要塞と恐れらた大型戦略爆撃機です」        


「どんな攻撃なんだ。見せてくれ・・・」


見て後悔をしてしまう。

小さな木造の箱型の建物が燃えていた。


あ、体を焼かれながら人が死んでいくなんて・・・ありえない。


それにしても、なんて幼稚な攻撃だ。しかし、なんて無残で残酷な攻撃なんだ。

嘘のように人が燃やされて死んでいた。


「1942年に開発されたナパームを使ったM69焼夷弾しょういだんです。建物を効率よく焼き尽くすのが最適の爆撃方法です。それに高度1万メートルを飛んで、機内の気圧は高度2400メートル相当の気圧を維持することができ、酸素マスクも不要です。軽量ながら頑丈な装甲板に覆われて防御力も高い爆撃機です。なので戦闘機での攻撃も難しいと・・・」


「それにしても過去の人類はバカか・・・同じ人間なのに・・・残酷過ぎだぞ」


「この時代の人間は、戦争によって発展してます。戦争が人類を発展させたと情報にもあります」


あ!詳しい内容が・・・



M69焼夷弾(AN-M69)。2.7キロナパーム弾。点火式爆弾の改良型。直径8センチ、長さ50センチ、六角形の金属の容器にゼリー状のナパーム剤とマグネシウムが入ってあった。39発が詰め込まれてE46-500ポンド収束爆弾(通称クラスター爆弾)として投下。一定の高度でバラバラになって落下。他の焼夷弾との相違点は水平安定板がなく、代わりに1.2mの【ストリーマー】と呼ばれる綿製のリボンが落下時に飛び出して、安定的な落下速度の調整を行った。落下速度をあまり早くする必要はなく、ストリーマーによる減速で M50焼夷弾の1/4の速度に抑えられた。このストリーマーに火がついて燃えながら落下してくることが多かったので、あたかも“火の雨”が降ってくるように見えて恐れられていた。六角形の金属製容器が建物の屋根を突き破ると、導火線が作動し5秒以内にTNT火薬が炸裂、その後に混入されたマグネシウム粒子によって、布袋に入ったナパーム剤を点火し、その推力で六角形の金属製容器を30メートルも飛ばして半径24メートルもの火の輪を作り周囲を焼き尽くした。内部に詰められたゼリー状のナパーム剤から、この焼夷弾は(ベトベト爆弾)と呼ばれていた。



「あのB-29を・・・なんとかならないのか!」


「B-29を操縦する者を殺すことになります。この場合は知的生命体を殺すことになります。宇宙法3277に触れます。しかし、例外もあります。宇宙海賊と違って惑星の知的生命体を殺す場合は、宇宙惑星同盟の連絡通信が不可能でマスターがやむを得ないと判断した場合は承認されます」


「承認するから光子魚雷を打ち込んでやれ!」


「それは承認不可能です。シールドのないB-29に打ち込めば、地球が破壊されて地球がなくなってしまいます」


「え!地球がなくなちゃうの・・・それはダメだ。何か良い方法はないのか・・・」


「ドローンによる攻撃が可能です。しかし、相手が知的生命体のためにAIによる攻撃は不可能です。マスターが操縦する必要があります」


え!そんなの、したことがないぞ。


「このコントローラーを使ってください。右ジョイスティックが方向で、左が速度です。上のボタンで攻撃レーザーでB-29を攻撃すれば完了です。それ以外の方法では、操縦席にドローンを突っ込む方法も可能です。ドローンは頑丈なので壊れることはありません」


「えー!そんなー!俺の手で殺せって」・・・嫌々無理だ。


虫も殺したことが無いのに・・・


「やるしかありません・・・御先祖さまが死にますよ」


それを言われると辛い。





お!なんだ・・・操縦は簡単だぞ。

それにB-29は、東京で爆弾を落とした帰りだ。


1番先頭に飛んでるB-29に狙いを定める。

コントローラーでスピードが加速してゆく。


【このままの行動は、知的生命体の命を危うくしてしまいます。その行為を容認するには、音声認証と血液サンプルが必要です。承認しますか?】


「なんだよアキ・・・これって・・・」


「宇宙法3277を無効にする手続きです。そのまま承認してください」


俺は承認ボタンを選択して「シンジ・アオキだ承認する」と答える。

チクッと針が・・・あれ!痛くない。


え!血が・・・


ようやく止まった状態のドローンが動きだす。


レーザー攻撃のタイミングを逃した。

もう目の前にB-29が迫っているぞ。


「カン、カン、カン」とドローンにB-29から攻撃が・・・


「そんな旧式の攻撃で撃ち落せると思うな!!」


レーザー攻撃が翼に命中。

右翼を簡単に切り落とす。

バランスを崩すB-29。

くるくるとスピンするとエンジン出力を上げても水平飛行は無理だった。


海面に叩きつけられて大破。



え!これって毎回、血をとられるのか・・・

面倒だぞ・・・後、何機だ。




「メーデー、メーデー、メーデー、UFO(未確認飛行物体)による攻撃を受けて、こちらの攻撃も弾かれ効果なし・・・形状は球型で・・・」


最後のB-29が空中で大爆発。

B-29の生存者なし。

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