第2話「隠された真実」

ロブとジョシュは、翌朝から町の西端にある古びた倉庫周辺の調査を本格化させた。彼らはまず、倉庫の周辺に住む住人や商店主に話を聞き、姉の行方についての情報を集めることにした。


「この辺りに新しく来た人間がいるかどうか、知っている人はいる?」ロブは町の商店主に尋ねた。商店主はしばらく考え込み、やがて首を振った。


「最近、特に変わったことはないが…」商店主は口をつぐみ、「ただ、あの倉庫には以前、怪しい連中が出入りしていたという噂を聞いたことがある。」と小声で付け加えた。


この情報を得たロブとジョシュは、倉庫の内部を詳しく調べる決意をした。午後になり、再び倉庫に足を踏み入れると、ロブは目に見えない何かがこの場所に残っているような気配を感じた。特に隅のほうに散らばっている紙くずや古い箱の中に何か手がかりがあるのではないかと、彼は直感した。


「ジョシュ、こっちに来て。」ロブは、倉庫の奥にある埃まみれの箱に手を伸ばしながら呼びかけた。


ジョシュはロブの呼びかけに応じ、箱を開ける手伝いをした。箱の中には古い書類や新聞記事、使い古された機器が詰め込まれていたが、その中に一枚の黄色く変色した地図が見つかった。地図には、倉庫の周辺の地下に続くルートが示されていた。


「これが…地下に続く通路の地図かもしれない。」ロブはつぶやきながら、地図を確認した。


二人は地図に基づいて倉庫の地下へと向かう決意をした。地下の通路は、かつての倉庫の支店だったのか、今ではほとんど忘れ去られた場所となっていた。地下に降りる階段を見つけ、慎重に降りていくと、そこには暗くて狭い通路が広がっていた。通路の壁には古びた落書きやシミがあり、どこか陰鬱な雰囲気を醸し出していた。


「本当にここに何かあるのだろうか…」ジョシュは不安そうに言ったが、ロブは黙って前を歩き続けた。彼の心の中には、アナの死や失踪の真実に近づくための強い意志があった。


通路の奥に進むと、壁に沿って小さな部屋がいくつか並んでいた。そのうちの一つに、古い金庫が置かれていた。ロブは金庫を調べ、鍵がかかっているのを確認した。ジョシュが持っていた鍵束を使って金庫を開けると、中からは大量の書類や、いくつかの写真が出てきた。


「これが…」ロブは、出てきた書類の中にアナの名前が記されたものを見つけた。「この書類は、アナが失踪する前に関与していた組織の記録のようだ。」


ジョシュもその書類を見て、驚きの表情を浮かべた。「これは姉が関わっていた組織の内部資料かもしれない…」


調査を進める中で、ロブとジョシュはアナがある秘密の取引に関与していたことを知る。それは、違法な取引に関連する情報で、アナはその取引を暴こうとしていたらしい。しかし、彼女の行動が知られるようになり、命を狙われることになったというのだ。


「アナはこの組織の内部で何か大きなことを暴こうとしていたんだ。」ロブは深い思索にふけりながら、書類を読み解こうとした。「このままでは、彼女の死の真相がわからない。」


ジョシュは緊張した面持ちでロブを見つめ、「どうすればいいんだろう?この組織に関する情報はまだまだ足りない。姉の安全が確保されるまで、何か手を打たなければ。」


ロブは頷きながら、「まずは、この書類に含まれる情報を元に、組織の詳細をさらに調査する必要がある。そして、必要であればこの件に関わっていた他の人物に接触してみる。」と決意を述べた。


その夜、ロブとジョシュは資料をもとに新たな計画を立てることにした。彼らの前には、アナの死の真相と組織の隠された秘密が待ち受けている。ロブの使命は、ただの運び屋の枠を超えて、彼自身の過去と向き合いながら進んでいく必要がある。


ロブは改めて心に誓った。この調査を終え、真実を明らかにするまで、彼は決して引き下がらないと。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る