第4話 あなたに恋をしています。
玲奈は全国チェーンを展開してるカフェでバイトをしてる。
その帰り道、勇気を見かけて、声をかけようと手をあげた。
「勇、」
しかし、勇気は年上の女性から、クッキーをもらって親しげに話す姿を目撃した。
玲奈は胸がキリキリと痛む。
(何だろう風邪かな)
◇◇◇
翌日、この日は曇り空で今にも雨が降りそうだ。
講堂で席につく玲奈。
既に人で埋まっていて、はしっこの席に座る。
隣にカバンを置いて勇気の到着を待っていた。
今日の講義は陣平は取っていないから。
今日は髪をハーフに結んで、軽くメイクをしてみた。
青のワンピースを着ていた。
「おはよう。玲奈」
そうこうするうちに勇気が講堂に入ってきて、私に挨拶をしてきた。
「勇気、おはよう。」
彼はクセッ毛を人なでしてから、席取ってくれてありがとうと言って座った。
白いシャツに青いジャケット。ジーンズというラフな格好である。
◇◇◇
勇気とは幼なじみである。
両親ともに仲良くて、小さい時から一緒に遊んでいた。
小学5年生の時、引っ込み思案でいじめられていた私に勇気は言ってくれた。
「玲奈は1人じゃないよ。俺もいるから」
あの時、勇気にとって、友だちを慰めるつもりの言葉でも、私にとっては魔法のような言葉で今も私の支えになったのだ。
そして、9年前に起きたある事件によって、運命は激変した。
(だからこそ、勇気は警察官。私は弁護士になろうと決めたのだけどー...)
◇◇◇
講義が終了した後。
「勇気、お昼は大学のカフェで食べない?」
「いいよ。あそこの新作パスタ、めちゃ上手いからな」
ニコッと笑う。
「そう言えば昨日、陣平の家に行ったのよね?どうだった?」
「広かったし、立派なお宅だったよ。出されたクッキーも旨かったな。」
幸せそうに笑う勇気。
「昨日、バイト帰りに勇気を見かけたの。年上の女性からクッキーもらってた。」
私の指摘に勇気はドキッとした表情だ。
「見てたのか。玲奈、」
「あの人、誰?」
(声に若干、刺がある聞き方になってしまった。)
「陣平のお兄さんの奥さん、俺がクッキー上手いと褒めてたから、わざわざラッピングして持ってきてくれたんだよ」
その説明を聞いて、玲奈はホッとして安堵感に包まれた。
勇気の背中をポンと叩く。
「昔から食いしん坊なんだから」
「別にいいだろう」
顔を赤くする勇気に私は笑う。
通りすぎる人々は、同じ青色の服を着てたし、カップルかなと私と勇気の話をしてる声が聞こえてきた。
(カップル...私と勇気が?そう、見えるのかな)
直後、玲奈は頬が熱くなる。
思考を整理して考えると、どうして勇気が女性と話してるのを見て胸が痛む理由もわかった。
「どうした?玲奈、顔が赤いぞ?」
「何でもないわ。早くカフェに行きましょう!」
(私は勇気に恋してるー...)
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