第19話 No背もたれ石ベンチに寝て空を見ながら内田さんの声を想像す

 現在15:41である。


 私は高いところに横臥して広大な青空に圧巻の感情を抱く。

 また、内田さんの素晴らしい声という煩悩がめぐっている。

 さっきから手の上をハエが歩いては離れ、離れては再び止まっている。

 

 大空の雲は風に任せて流れている。この暑い八月末、29の浮浪者のような男が、立体的な空の構造と浮浪者を極めた雲の怠慢に見入っている。

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