ダメ騎士! クリス!

八乃前 陣

☆プロローグ ギルドにて☆


「わっ、コレなんかいい感じですっ! コレに決ぃめましたっ♪」

 とある街の冒険者ギルドで、一人の小柄な少女剣士が栗色の長い艶々ポニーテールを靡かせながら、嬉しそうにピョコピョコと跳ね回っていた。

 少女の名前は「クリス・クリクリス」といい、聖なる騎士を夢見て広大なる地「ニョ大陸」を冒険する、齢十五の少女剣士である。

 爽やかに艶めくストレートなキツネ色の髪をリボンで纏め、タレ目で澄んだ緑色の瞳は泣いたように艶めいて愛らしい。

 スジの通った小鼻と小さな口は、一見すると幼女のようにさえ見える。

 しかし、クリクリとした瞳を輝かせる童顔の下は、絶妙にミスマッチで誘発的な凹凸で恵まれた、ビキニ鎧の肢体があった。

 細い首はフワリとした白い布でゆったりと覆われ、左右の肩鎧を留めている。

 白地に赤色で縁取ったビキニ鎧に包まれた豊かなバストは、八十五センチもの豊かな柔山を小さなカップに押し包まれながら、フルフルと健気に白い艶肌身を揺らせていた。

 クィッとくびれたウエストは、捻られるとプクンと皮下脂肪を浮かせるのに、シッカリと引き締められていて、意外に鍛えられている事が伺い知れる。

 細い背中から広がるお尻は、年齢に比して発達しているが、パツパツとした張りと輝きを魅せながら、柔らかいお尻の脂肪をキュッと丸く上へ押し上げていて、男の視線を無自覚に引き寄せていた。

 皮下脂肪を乗せながらも細い手足は、やはり白いガントレットやブーツで覆われていて、左の腰に下げられた細身の剣が、この小柄で美白な少女が剣士である事を表している。

 前髪の上にちょこんと乗せた、実用性の薄そうな冠みたいな頭飾りは、少女らしいオシャレ心の現れだろう。

 肩鎧からヒラヒラとはためく、腰までの長さを持つ朱色マントを眺めながら、ギルドを仕切るドワーフの親父は、心配げに溜息を吐く。

 剣士少女が手にしているのは、賞金が掛けられている指名手配書だ。

 様々な種族の様々なお尋ね者たちの顔が、高額の賞金と共に貼り出されていて、その全てが「生死を問わず」と書かれていたり。

 どこの街でも冒険者ギルドにゆけば、このテの張り紙は、いつだって張り出されているモノでもある。

「お嬢ちゃん、悪りぃ事ぁ言わねぇ…そいつぁヤめとき──」

「えっへへ~っ! すぐに捕まえますから!」

「あ、おいお嬢──あ~あ、行っちまったよ……しょうがねぇなぁ」

 店主の心配も耳に入れず、冒険者クリスは、元気にギルドから飛び出していった。


                        ~プロローグ 終わり~

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る