涙雨

やと

第1話

ある日の昼間学校をさぼり家から少し離れた公園に向かう。

公園でiPadで公園に咲いた花や風景を書く事が習慣になっている。学校での出席日数の問題もありながら学校で居場所がなく友達もいないため学校に行きたくない事を理由に担任の先生に説明すると直ぐに三者面談が開かれてたのだが親は

「学校なんて行きたくないなら行かなくていいなにも貴方を成長させるのは学校だけじゃないんだから」

と言ってくれ担任の先生にもきちんと説明してくれた。幸いまだ中学生と言う義務教育と言うこともあり無理して行くよりもやりたい事を優先すると言う判断をしてくれて来たいと思った時に来ればいいと言ってくれた。

そんな背景があり大体の時間はこの公園で過ごしている。ただ今日は雨だ、雨は公園を歩き回りながら花の絵を書けないしなによりやる気が削がれる、今日も公園に行き東屋で公園の風景を書き始める。しばらくして誰かに話しかけられた。

「君絵上手いね」

「え?」

絵を書く事に集中しすぎて隣に人がいるのに気付かなかった。

「にしても集中してて私も思わず見入ってしまったよ」

時間を見ると昼過ぎに来たのにもう時間は一時を回っていた。

「あ、そうだお腹空いてない?」

「いや大丈夫です」

そう言った瞬間にお腹が鳴ってしまった。

「私ピクニックで公園来たのにこんな天気だしそれに作りすぎちゃったから」

いつから隣に座っていたのか分からないしそれに知らない相手に話しかけるなんて考えられないけどお昼はいつもコンビニで済ましているがピクニックと言い見せてきた弁当はとても美味しそうに見えたのでそのまま二人でお昼を食べる流れになった。

「どう、私のお弁当」

「美味しいです」

そう言うと嬉しそうに次々と食べ始め、すぐに食べ終わってしまった。

「ところで君見るところ学生だよね」

「はい、中学生です」

「こんな所でさぼっていていいのかい?」

「学校にも理解してもられているので大丈夫です」

「そうなんだ、私も学生の時はあまり学校に行けなかったんだ」

「そうなんですか?」

「うん、まあ理由は色々あるけど学校は嫌いだったから良いけど」

少し話しをしてその人は片づけをし始めてしまった

「じゃあまたここで待ってるから」

「分かりました」

待ってるなんてなんで僕が此処にいる理由も知らないのになんでまた会ってくれるのか分からなかった。

その人とあう時は大体が雨が降っていた。

それからしばらくその人とお昼を一緒に食べて色んな話しをするようになって一ヶ月が経ったのだがそれからあの人は突然公園に顔を出さなくなった。それから二週間が経とうとしていた。

一人でいるのには慣れてたつもりだったけど少し寂しさを感じるようになった。

しばらく絵を書いていつもと同じ時間を過ごしていとふと僕に近づいてくる人影が見えた。

「日向君」

そう僕の名前を読んだのは僕のクラスの担任の先生だった。

「先生なんで?」

「妹に日向君の事聞いてね」

「妹ってもしかして」

「そう、ここ一ヶ月日向君と一緒にいたのが私の妹なの」

衝撃とだとしたらなぜ姉である先生が来たのか分からないことだらけで頭が痛くなりそうだ

「先生の妹さんはなにかあったんですか?」

「妹は交通事故で亡くなったの」

感じてた衝撃以上の衝撃が僕を襲った

「妹は元々心臓が悪くてね入退院を繰り返してたの、だから学生の時は学校にも行けなくていじめられてたりして学校には固執してなかったんだけど卒業してからも入院は続いてたんだけど最近やっと退院できたんだけどその矢先にこの公園に行く途中に車に撥ねられてね」

先生の何とも言えない表情に何を言えばいいのか分からなかった。

「妹は最近嬉しそうに友達が出来たっていって昼間に家を出かけてたんだけどそれが日向君だったとはね」

果たして僕はあの人の友達と言えるのだろうか、僕と出会わなければ亡くなることはなかったのに先生は僕を責めるどころかなにも言うことはなかった

「先生の妹さんとは少しの間ですけど随分とお世話になりました、色んな相談もしてくれて学校に行きたくないってことも理解してくれて」

「そうでも貴方は学校に行くべきだと思うわ」

学校に行きたくないと言った時先生は理解してくれたけど先生の目をみれば本気で僕を学校に行って欲しいと思っているようだ。

「今日は貴方に渡したい物があって来たの」

そういって鞄からパンフレットを出した。それは美術部が有名な高校のパンフレットが何冊か持ち出した。

「妹は絵が好きだったのだから高校も学生の時は美術部で大学も美大に行く予定だったのでも持病で諦めたんだけど日向君には諦めて欲しくないって言ってたわ。絵が好きなら美術部が有名な高校に行きたい?」

「それはまあ自分の唯一の趣味ですから」

「じゃあ出席日数の問題もあるし尚更学校に行って欲しいの」

「考えてみます」

「じゃあ私はそれを言いに来ただけだからもう行くね」

先生が去った後に直ぐに家に帰って貰ったパンフレットを見てしばらく考えたがやっぱり自分が自分であると証明出来るものは絵を書く事だけだしどの道高校に進んだら美術部に入ってその後美大に行きたいと考えていたので決心がつくのに時間はかからなかった。

次の日学校にの行くとクラスメイトの視線が痛かったがそんな事どうでも良かった。

学校に行き始めてから放課後や休みの日には公園に行くようになった。

もうそろそろ梅雨になり始めて一段と雨の日が続いたまるで雨この雨が涙雨のようだった。

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涙雨 やと @yato225

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