14.
「えっと、じゃあ⋯⋯。小口さんも一緒にどうかな」
「えー、わたし、ゴロゴロするのに忙しくて大河さまと一緒に遊べないかもですー」
間髪入れずにほぼ本気のことを言う。
「サボってないで、仕事を全うしなさい」
「立派な休息じゃないですかー。てか、安野さん、今井さんに説教されていたはずでしょ?」
「あなたがふざけたことを言っていたので、つい口を挟みたくなったのです。姫宮様達を困らせないでください」
「安野さんにそれは言われたくないですって」
「⋯⋯ぐうの音も出ませんけど、それはそれ! これはこれ!」
「休息しててもいいので、近くにいてくれたらありがたいです⋯⋯」
小口の言動にも困るところはあるが、安野がその火種に火を付けてしまっている。
小口はほぼ安野のことを面白がって言っているけど、さすがに言い争うのはここまでにして欲しい。
「ほら、二人とも姫宮様が静かにゆっくり召し上がられないでしょ!」と今井がまた場を収めようとしてくれているのを任せて、そろそろ冷めているであろう朝食を口にしようとした時、姫宮に向ける視線を感じた。
その視線に顔を向けると、大河が見ていた。
「大河、どうしたの⋯⋯?」
さっきあんなに話しかけても見向きもしなかった子が急にどうしたのだろう。
半ば驚きつつ、話しかけてみたその直後、大河が口を開いた。
えっと思ったのも束の間、発することもなく口を閉じた大河は、急に椅子から降りたかと思うと、落ち着きかけている三人を横切り、玩具置き場へと行ってしまった。
なんだろう。どうしたのだろう。
「あ、大河さま、まだ食べている途中でしょー」
すかさず小口がそう言うが、おもちゃを広げ始めてしまった大河の耳には聞こえてなかったようだ。
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