Darknessーダークネス

みやび

第1話 どうかこの物語が喜劇でありますように。

僕の世界は混乱に満ちている。

始まりは20年以上前、突如異世界と繋がるゲートが地球に現れた。

そのゲートから異世界人が現れ地球人に対し交渉をしてきた。

「危害を加えるつもりはない。ただこの星の住民達と友好的でありたい」

そう異世界人は言ったそうだ。

その言葉に偽りはなく、異世界人達は人類に大きな利益をもたらした。

不思議な力で時には人を癒し、

時には知恵を与え、

時には人類の科学に大きな発展を与えたと言う。


ーだが、その時は突然きた。

異世界人が地球に侵攻を始めたのだ。

理由は不明。

友好を願った彼らはもう今やそこにはない。

地球と繋がるゲートを使い異世界に人を攫っていくという。

それがおよそ13年前と、なり

今もなお異世界人の侵攻は続いている。


異世界人達の特徴は

見た目は特に普通の人間とはあまり変わらないらしい。

だが、人間にはないものが彼らにはいくつもある。

まずは肉体だ。

鉄を弾き、その力は地面をも割ると言う。

次に回復力。

ほとんどの傷は瞬時に治り、深い傷も数日ほどで治るという。

そして1番の特徴は

不思議な力を有しているということだ。

その能力は異世界人達によって異なるらしい。

水、火、風、氷、土、闇

それぞれを生み出し自由自在に操ることができる。

そしてさらに異世界人の中でも優れた才能を持つ者は、

他の異世界人には使えない固有能力が使えるという。


ーこれが、歴史の教科書に載っている全てだ。

他にも少しあるが多くの情報は国によって情報規制をされている。まぁ、インターネットによる都市伝説のようなものだが。

そして今もなお異世界人による人攫いは続いており、世界各国ではそんな異世界人との争いもとい戦争が繰り広げられているという。

もちろん、日本も例外ではない。


僕はここ南坂高校の2年生。

今はそう、歴史の授業を受けている。

異世界人の事はいつも教科書やテレビのニュースで耳にする。

ほぼ毎日、世界中で異世界人によって人が攫われている。

何故そんな他人事のように話してるかというと僕のいるこの町は何故か異世界人による人攫いが過去に一度もされた事がない奇跡の町なのだ。


紹介を遅れたが僕は「芳賀 悟」16歳。生まれた時からこの町に住んでいる。このご時世、わざわざ他の町に行く機会も少なく異世界人はテレビやネットでしか見たことがないので

どこか他人事みたいになってしまう事がある。


キーンコーンカンコーン

授業の終わりのベルが鳴る。

この後はお昼だ。

朝に買ったパンを食べようとした時

「相変わらず毎日同じパンを食べてるなぁ」そう目の前にいる男に言われた。


コイツは「相田 圭介」

中学からの腐れ縁だ。

見た目は薄茶色の髪にツンツン短髪。

メガネをかけ、いつもどこかニヤけているような奴で学生服のブレザーの下にパーカーを着ている。

「別にいいだろ。美味いんだから」

そう圭介に言うと、

「あーやだやだ、相変わらずクールですねー」

と嫌味を言われた。

いや、ほんと美味しいんだよこのパン。

パンの上にコーンがあってその下にマヨネーズが塗ってあって温めても美味しいんだよ。まぁ学校だからレンジとかないんだけどさ。

なんてそんな事を思っていると、


「コラ、圭介くん。

机の上に座らないの。お行儀わるいよ。」

そう透き通った綺麗な声がした。

この女の子は、「星野 舞」

綺麗な青髪に可愛いらしい顔立ち

見た目から清楚な雰囲気が伝わってくる風紀委員だ。

「はーい」

と言い圭介が机から降りる。

「まったくもう。」

そう舞が小さく呟く。

そして、舞がそのまま僕の方を見て話す。

「悟くん。相談があってね…」

え?相談?舞が僕に相談なんて珍しい。いや初めてなのではないか?

そんなミーハーな事を思っていると舞はすぐにその相談の内容を明かした。

「実はこのノートを美優紀ちゃんに渡して欲しいって先生に頼まれて…」

と舞からノートを渡された。

よりによって美優紀関連かぁ…。

美優紀とは圭介と同じ中学からの同級生である。

薄ピンク髪の子で綺麗でクールと言う言葉がよく似合う。あまり人と会話をしない女の子だ。

なにをかくそう中学の頃の僕の元カノだ。


中学3年の時に僕が美優紀に告白をし、なんとOKをもらい交際をしていたんだ。その日のことはよく覚えている。空は快晴で雲ひとつなくその時の気温、時間、僕の鼓動の音…いやもうやめよう。

それから半年後、美優紀から別れを告げられた。

その時のことはよく覚えてない。

突然の事すぎてほんと覚えてない。

思い出したくもない…


それから2年が経ち同じ高校のしかも同じ教室のクラスメイトだ。今も1人で教室の窓際の席で静かに外を眺めている。

舞が僕に美優紀のノートを渡してきたのはまぁ僕から美優紀に渡してほしいと言う事なのだろう。

舞の言いたいことはなんとなく察しがつく。

美優紀の雰囲気的に話しかけづらく

だから同じ中学だった僕に相談しに来た。と言ったところか。

圭介じゃぁ、なんとなく頼りなさそうだしね…。


だからといって僕に頼まれても…

この学校で1番美優紀に話しかけづらいのは僕なんだけど…まぁ、舞の頼みだしノートを渡すぐらいならいいか。あの後まったく美優紀と話さなかった訳でもないし。


「いいよ。僕から美優紀に渡しとくよ。」

と舞に言うと笑顔で

「ありがとう!悟くん!」と言われた。

その笑顔120円!!

と懐かしいCMのフレーズを思い出した時


「ウワァァァァァァァァァァァァ!!!」

校内中に悲鳴が響き渡った。






























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