最強の守護神。〜謹んで召喚します〜

猫野 尻尾

第1話:悪魔が彼氏。

一話完結です。


私「雨宮 神奈あめみや かんな」17歳・高校生。


実は私の彼氏はなんと悪魔なの。

その悪魔の名前が「ルースター」って言って、よくは分からないけど彼が

言うには序列54番の地獄の大公爵にして伯爵で30の軍団を率いる堕天使なんだって。

神様に逆らって堕天する前は天使で座天使って階級だったそう。


だけど、私にはいまいちピンと来ないんだよね。


なんで私が悪魔「ルースター」なんかと関わりを持つようになったかだけど・・・。

それは下校時のことだったの。

近道するためにいつも通る公園の中央の噴水のを通って帰ってたのね。

そしたら、噴水の反対側から誰かのうめき声が聞こえたから、何事かと思って

噴水を回ってみたら・・・そこに黒づくめの男性?・・・が横たわっていて

ウンウン唸ってたの。

よせばいいのにお人好しの私はその男性に声かけちゃったのね。


「あの〜大丈夫ですか?」


「ああ、すまない手傷を負ってしまって・・・動けないんだ」


「そんなにひどい怪我してるんですか?」


「そうだな・・・思ったより傷が深そうだ・・・」


「お医者さんへ行ったほうがよくないですか?」


「おまえ、誰だ?」


「私、雨宮 神奈あめみや かんな現役女子高生です。


「女子高生?・・・」


「そうですけど・・・あなたは?」


「俺は悪魔だ」


「あ、悪魔?・・・悪魔さんなんですか?・・・まさか、冗談ですよね」

「なにかのお芝居とかじゃ?・・・劇団の方とか・・・それってコスプレですよね」


「答える気にもならん・・・悪魔だと言っただろう」


「はあ、分かりました・・・悪魔さんなんて初めてお会いしたもんだから」


「普段は人間界になんか姿は現さないからな・・・ううう、う」


「そんなことより傷の手当したほうがいいですよ」

「実は私のおじいちゃんお医者さんしてるんです」

「よかったら連れてってあげますから・・・ね、とりあえず傷の手当を・・・」


そんなわけで、私は、おじいちゃんが営んでる「雨宮診療院」に悪魔さんを

連れて行ったの。


それが私と悪魔「ルースター」との出会いだったわけ。


彼はなんでもサタンに逆らった反逆者を追って人間界にやって来て、

その反逆者を倒したのはいいんだけど、自分も反撃されて手傷を負っちゃった。


で、傷が完治するまで私の家で面倒みることになっちゃって。

私には両親ともに事故で亡くしてて、今はおじいちゃんと二人暮らしだから、

ルースターの傷が癒えるまでと言うので自然に彼を受け入れちゃったのね。

だから、今もルースターは私の家にいるわけ。


ルースターは髪が短髪の白髪で切れ長の目にキリッとしたイケメンさんの悪魔。

悪魔って言えば頭に角なんか生えてると思うでしょ。

でもそんなものはないの。

亭主関白みたいに偉そうにモノを言うけど、まだ若くて私と同い年。

だから当然独身の悪魔さん。

向こうに悪魔の奥さんはいないみたい・・・って本人が言ってるけど、さあ

どうだか・・・私は向こうへは行けないから彼の言うことを信じるしかなさそう。


悪魔だから人間にはできないような不思議なことができるんだって。

一瞬で消えたり現れたりするのは見たことあるけど・・・他にもなにか怖いこと

ができるみたい・・・私もまだ全部は知らないの。


で、ご多聞にもれずで悪魔と一緒に暮らしてるうちにお互い情が芽生える

わけよね。

人間同士と同じように異種同士でも愛情が芽生えちゃった。


もう分かるよね・・・私とルースターはいつの間にかお互い心を許す関係に

なっていったの。

え〜悪魔となんかって思うかもしれないけど、ルースターは人間の男子なんか

よりずっと紳士的で献身的で私にはとっても優しい・・・他人には鬼みたいに

厳しいけどね。


普段は私の家にいることが多いけど、それでもやっぱり悪魔だから時々

地獄に帰るのね。

すぐに帰って来るときもあれば一ヶ月くらい帰って来ない時もある・・・

だからって彼が私に笛をくれたの。


神奈かんな・・・おまえにこの笛を渡しておく」

「そのホイッスルみたいな笛は俺を召喚するための笛だ・・・もし俺を呼び

出したい時はその笛を吹け」

「その笛の音は俺にしか聞こえん・・・人間の耳には聞こえんから近所迷惑に

なることもない」

「おまえがその笛を吹いてもおまえ自身にも聞こえん」


「なにかトラブルやアクシデントに見舞われそうになった時はその笛を吹け、

いいな」


だからその笛を吹いてみたの・・・彼が言ったとおり音が聞こえなかった。


「ここで吹いてどうすんだ・・・俺が地獄に帰ってる時に吹かなきゃ意味ないだろ」


「あはは・・・分かった・・・ありがとう」


「もし神奈が危機的状況に見舞われた時は俺が全力でおまえを守ってやるからな」

「俺さ、地獄にいて反逆者だけ相手にしてた来たから心まで腐っちまうところだったけど、おまえと出会って心が腐る前に救われたんだ」

「それに俺には新たにおまえと生きるって目的と希望が生まれた」

「だから、これからはおまえだけのために生きてる」


「神奈・・・悪魔が彼氏って嫌か?」


「私の彼は誰にも負けない最強の彼氏だね・・・トラブルに見舞われた時は命を

かけて私を守ってくれる?」


「なにをさておいてもな、たとえ神やサタンを相手にしてもだ」


ね、悪魔の彼氏ってすごく心強いでしょ?なわけで、まだおじいちゃんしか知らないけど、ひょんなことから私には悪魔の彼氏ができちゃったの。


私のとっては最強の守護神なんだ。


おしまい。


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