私よりも

 なんとなく、なんとなくの話、またいつかこの場に戻ってきて何かしらをするような気がしていた。もっとも、こんなに早くその機会が来るとは思わなかったけど。


「私は今は作曲とかの曲作りがメインになっているから上手くできるかどうか……。それに、脚本なんて数回しかやったことないし」

「それが評価高かったのはお忘れですか?」遥が笑みを浮かべて言う。

「……先輩の方がうまかった。私は先輩より劣っていたよ」


 あの人が作りあげた作品の役になるのが私だった。私をよく理解しより輝ける役を生み出してくれた。

 私も何回か作ったことはあった。評価もされた。ただ、いつも感じていたあの人には勝てないという気持ちは時が経っても変わらない。

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